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検定意見違法確認訴訟を準備

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 高校日本史教科書の「集団自決」検定問題で、愛媛県の団体が「日本軍の強制を削除させたのは違法な政治介入」として検定意見の違法確認などを求めた訴訟を準備していることがわかりました。

 検定関係者が「新しい歴史教科書をつくる会」やそこから分裂したグループに近い立場の右派的な人物で占められて検定意見作成を主導したことなど、一部政治勢力の思惑を受けての違法な政治介入によって「集団自決」での日本軍の強制性を削除させたということは、この間の国会質問などでも明らかになっています。
 集団自決の強制性については、特定の軍の責任者が直接命令を下したかどうかというレベルではなく、多様な背景を総合して全体的に強制に追い込む体制を日本軍が作り上げたという意味で強制性があった、というのが研究の到達点です。また検定意見を変更させた根拠の一つとされている、大江健三郎氏の著書『沖縄ノート』に絡む訴訟でも、「原告側(集団自決を否定したい政治勢力)の主張は1970~80年代には既に知られていたことで、2000年代に提訴された裁判を根拠に『前回検定以降に学説を取り巻く状況が変化した』と主張することはできない」「原告側の主張でも軍の強制性は否定できない」など、原告側の矛盾が明らかになっています。
 検定意見については、特定のイデオロギーの立場から政治的に押しつけられたという手続き上の瑕疵に加えて、学問的にも正確なものではありません。
 なお政治介入をおこなった一部勢力は、逆に「再申請に持ち込んだことが違法な政治介入」かのように喧伝しています。しかしこの手の喧伝は「自分たちの政治介入を棚に上げた上に、自分の思い通りになるかどうか予断を許さない状況になったことに対して事実を正反対に描いて噛みついているだけ」と厳しく却下されるべき内容です。
 「集団自決」検定問題で検定意見撤回を求める訴訟を準備しているというのは初めてだということですが、今後の動きが注目されます。

愛媛の団体、来月提訴/検定意見撤回と国賠請求(『沖縄タイムス』2007/12/17 朝刊)
 文部科学省が高校歴史教科書から、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除させた問題で、「えひめ教科書裁判を支える会」などが呼び掛け、「違法な政治介入を行った」として、国(文科省)などを相手に、検定意見の違法確認と取り消し、損害賠償を求める訴訟を起こす方針であることが十六日、分かった。来年一月下旬までに愛媛県の松山地裁に提訴する。同問題をめぐっての訴訟の動きは、全国で初めて。国と同時に検定撤回などを求めず違法を放置した、として愛媛県教育委員会も訴える予定。
 今月中に原告参加者の第一次集約を行う。原告や支援者を募っている。
 同会は、同県で扶桑社の「新しい歴史教科書」が採択されたことなどで国や県に対しその取り消しや損害賠償を求める裁判などを支援している。
 同日、松山市民会館で行われた集会で、提訴の方針を示し、参加者に協力を求めた。また、9・29県民大会に愛媛から参加した人の報告もあった。
 同会連絡先になっている奥村悦夫さんは「文科省は、記述回復だけで、責任をあいまいに済まそうとしている。問題の根本を問いたい。全国でも同じような動きが起きて、問題解決への力になってほしい」と話した。