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「集団自決」検定問題の意見書が明らかになる

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 沖縄戦の「集団自決」をめぐる高校日本史教科書検定の問題で、林博史・関東学院大学教授が11月27日、教科書検定調査審議会に提出した意見書を公開しました。

 意見書は林教授のウェブサイト(http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/)内で公開されています。(意見書はこちらのページから)
 林教授の著書『沖縄戦と民衆』(大月書店、2001年)を根拠に「軍の命令はない」と教科書調査官が検定意見を述べたと伝えられていることについては、氏は不快感を表明し「私の著書を根拠に日本軍の強制性の叙述を削除させたことは、著書の内容を歪曲したものであり、歪曲を基にした検定意見そのものが根拠のない、間違ったものであることを示しています」と検定意見撤回を求めています。
 林教授は集団自決について、「日本軍全体として、捕虜になることを許さない思想を広めたこと・米軍に捕らえられると惨殺されるという恐怖心を煽ったこと・多くの日本軍将兵が「いざというときには自決せよ」として住民に手榴弾を配ったことなど、住民を集団自決に追い込むような体制作りをおこなってきたという意味で、軍の強制と誘導があった。このことが沖縄戦研究の共通認識であり到達点。集団自決が発生した際に特定の隊長が直接自決命令を出したかどうかを争うことは、別レベルの問題である。直接の命令があったかどうかを争っても軍としての集団自決強制を否定できるものではない。また命令があったかどうかわからないとして集団自決の強制はないとするのは、レベルの異なる問題を混同するもので論理的に成立しない。(要旨)」と反論しています。
 また今回の検定結果の根拠の一つとされた、「集団自決はなかった」として日本軍の元隊長らが、集団自決を取り上げた『沖縄ノート』の著者・大江健三郎氏と発行元の岩波書店を訴えている訴訟についても、林教授は「元隊長らの主張は1970~80年代から研究者の間で知られていた。2005年に提訴された訴訟を根拠にして、学説の変化・新資料の発見などとする主張は成立しない(要旨)」と指摘しています。
 林教授の主張は明快です。検定意見を変更させた主張が学術的にも全く道理のないものであることを、改めて浮かび上がらせる形になっています。しかも著書の内容を正反対にゆがめて「集団自決強制はない」という根拠にした検定意見など、正常なものとはいえません。
 また「集団自決はなかった」とする訴訟についても、原告側関係者が「教科書の記述を変えさせる目的がある」ということをほのめかしています。訴訟自体にも無理があり、また無理がある訴訟を根拠にした文部科学省の主張にも当然無理があるということを改めて示しています。
 検定意見の前提そのものが論理的に成立しない誤った代物である以上、検定意見は撤回されなければなりません。