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「集団自決」検定問題をめぐる新たな動き

 高校日本史教科書での沖縄戦の「集団自決」検定問題で、11月6日から7日にかけて新たな動きがありました。

 まず、11月6日に沖縄県内でおこなわれた集会で、集団自決が「なかった」「冤罪」とした訴訟での原告主張は「捏造」と指摘されました。

 沖縄戦中、渡嘉敷・座間味両島で起きた「集団自決」(強制集団死)をめぐり、岩波新書「沖縄ノート」などで日本軍の隊長命令だったと記述され名誉を傷つけられたとして、戦隊長だった梅澤裕氏(90)らが岩波書店と作家の大江健三郎氏に出版差し止めなどを求めている訴訟で、9日に原告・被告の本人尋問が行われるのを前に「沖縄戦の歴史歪曲(わいきょく)を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」が6日夜、那覇市古島の教育福祉会館で事前集会を開き、約40人が参加した。
 津多則光沖国大非常勤講師は原告の梅澤氏や戦隊長だった故赤松嘉次氏のこれまでの証言や文書一つ一つを検証し「ねつ造」「うそ」と指摘した。「彼らが座間味島、渡嘉敷島で何をしたかをしっかり明らかにし、追及をこれまでの住民側と合わせて行っていくことが重要だ」と話した。〔『琉球新報』2007/11/7 『原告側の「ねつ造」指摘 岩波訴訟』

 大江健三郎氏の著書・『沖縄ノート』に関して「集団自決は冤罪・名誉毀損」などとする訴訟が、大江氏と出版元の岩波書店を相手取って提訴されたことが、文部科学省が検定意見を付けて記述を変更させた大きな理由となっていることは、国会答弁でも明らかになっています。(参考:当ブログ2007/4/14「沖縄戦集団自決記述での教科書検定:政治的意図が浮かび上がる」)
 しかも文部科学省が原告側の主張と同調していることも明らかになっています。また今回、訴訟そのものの前提が、信憑性が疑われる主張に基づくものという指摘がなされたことで、すなわち文部科学省が「トンデモ説」を一方的に採用して、もとの記述の方がより正確な記述にもかかわらずわざわざ不正確な記述・誤解を招く記述に変更させた形になっていることが浮かび上がります。これはきわめて問題だといえます。
 また11月5日に教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会が開催され、沖縄戦の専門家から意見を聞くことを決めたことが、11月7日にわかりました。
 このほか11月7日には、教科書執筆者らで作る「社会科教科書執筆者懇談会」が、検定撤回を求める声明を出しました。
 この間の経過を見ると、根本的な解決にはやはり、「集団自決」に関する今回の検定結果を撤回し、学術的な到達点に基づいて検定を一からやり直すべきではないかと感じます。今後教科書の記述がどこに落ち着くかについては全く不透明ですが、史実や学術的な到達点を踏まえた記述へと変更されることが強く望まれます。