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教科書検定に文科省調査官が介入していた

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 『琉球新報』2007年10月11日付『文科省調査官が介入、波多野委員が初明言 教科書検定審議』によると、沖縄戦での集団自決に関する教科書検定について、文部科学省の調査官が介入している実態が明らかにされました。

 教科書検定での合否や意見などを決定する、教科用図書検定調査審議会日本史小委員会委員の波多野澄雄・筑波大学教授が、琉球新報社の取材に答えて明らかにしたということです。波多野氏は「調査官はもちろん議論に入ってくる。いろいろなことを意見交換する。全く委員だけで話すことはない」と明言し、文部科学省サイドが検定意見を左右していることを明らかにしています。
また沖縄戦集団自決の検定問題についても、「学術的に、沖縄戦の集団自決をめぐる大きな変化があるかと言えばそうではない。わざわざ意見を付けることにやや違和感があった」としています。
 文部科学省の公式見解としては「教科用図書検定調査審議会は文科省から独立した第三者的・中立的機関」となっていますが、波多野氏は審議会について「文科省から独立した(第3者的)機関ではない」と明言しています。
 文部科学省サイドからの政治的介入によって検定結果が左右されたことがかねてより指摘されていましたが、改めて文部科学省サイドからの政治的介入を示す材料が明らかになったことになります。
 特定の政治的主張から意図的にすり替えをおこない、学説を無視して特定の政治的立場に沿った内容を押し込もうとする、こんなことこそが「政治的介入」だといえます。文部科学省は「政治的介入にあたる」として検定を撤回しないという主張をおこなっていますが、そもそもの検定の経緯自体が政治的介入であり、政治的介入を除去して正常化することを逆に「政治的介入」として拒否するのは通じません。検定は撤回されるべきだと考えます。
 なお、集団自決がなかったとする訴訟の原告側主張を論拠にし、「事実関係誤認やすり替えが目立つ」「学習指導要領に沿ってさえいれば、出版社(執筆者)が自身の考えを盛り込めるものであり、政治の介入はなじまない」「その結果、「日本軍が配った手榴(しゅりゅう)弾で集団自害と殺しあいをさせ」との表記が「日本軍が配った手榴弾で集団自害と殺しあいがおこった」などと修正された。軍の関与自体はそのまま残されている。」(『産経新聞』2007年9月26日付)などと結論づけるなど、一部勢力は検定が正当かのようにいっています。しかしこれは全くのすり替えだといえます。
 訴訟での主張は従来の定説・通説を覆すものではありませんし、また特定の場所での現象について「事実無根」と主張しているだけで、全体的に集団自決が「なかった」「あったかどうか分からない」かのように言い立てるのはすり替えです。
 また教科書が「出版社(執筆者)が自身の考えを盛り込めるもの」というのも一定の範囲内では成立するでしょうが、教科書の性格上定説や通説を無視することはできません。当然のことながら、少数学説を多数説・定説・通説と見せかけて書き込むことは、教科書としては成り立ちません(この論理はさすが、少数学説や政治的主張を定説かのように扱った『新しい歴史教科書』の扶桑社の親会社だけありますが…)。
 修正では「軍の関与自体はそのまま残されている」と強弁していますが、修正後はむしろ「軍は手榴弾を配ったが、自決したのは住民の自発的意思であり、軍は関与していない」と読めます。こういう主張で検定内容を擁護する方が、「事実関係誤認やすり替え」といえるのではないでしょうか。