横浜市立奈良中学校暴行事件:学校側の事件正当化

 横浜市立奈良中学校(横浜市青葉区)の柔道部顧問・田中秀昌(28)が2004年12月、当時3年生の生徒に暴行を加えて重傷を負わせた事件で、7月2日の田中の書類送検を受けた学校側は翌7月3日、生徒へ説明をおこなったということです。

 『神奈川新聞』によると、説明の様子は以下の通りだということです。

柔道部顧問傷害事件で校長が生徒に説明/横浜〔『神奈川新聞』2007/7/4〕
 横浜市立奈良中学校(青葉区)で柔道部顧問の教諭(28)が男子生徒に重傷を負わせたとして傷害容疑で書類送検されたことを受け、同校の木村長利校長が三日、朝の定例集会で全校生徒に事情を説明した。
 木村校長は集会で「今回の問題を重く受け止めている。迷惑を掛けて申し訳ない」と謝罪。教諭がしばらく学校に来ないことを伝えると、生徒からは「早く戻ってきて欲しい」という声が上がったという。
 教諭は当面自宅謹慎となり、司法判断が出るまで障害者施設での研修などを行う予定という。同校長は「被害生徒が一日も早く元気になるように祈っている」とした上で、「教諭は生徒からも保護者からも人気があった。行き過ぎた指導や体罰があったとは聞いていない」と述べた。
 教諭を知る県内の柔道関係者は、書類送検後の教諭の様子について「学校を辞めなければいけないと落ち込んでいる。中学の柔道部を一から作り、超のつくまじめな先生だった」と話した。

 『神奈川新聞』はこの間の事実関係を伝えているつもりだと受け取れます。しかし加害者側の主張のみを伝えることで結果的に、加害者へ加担して被害者へ二次被害を与えることにつながっているような印象を受けます。
 学校側の主張やこの記事で取り上げられている声というのは、全くの問題外です。
 「教諭がしばらく学校に来ないことを伝えると、生徒からは「早く戻ってきて欲しい」という声が上がったという。」というのも、冗談じゃないと思います。意図的に暴行を加えて重傷を負わせ、しかも反省もせず謝罪の言葉ひとつすら述べていない人物に、「早く戻ってきてほしい」などとは何事か。冗談もほどほどにしてほしい。中学生ならば「理不尽な暴行で苦しめられている人の痛み・苦しみ」ぐらい想像する力もあるでしょう。しかも被害者は生徒から見れば同じ学校の先輩にもあたり、一歩間違えれば自分が同じ目に遭わされた危険性もあります。そういったことへの想像力すらなく、田中に「早く戻ってほしい」とよく言えたものです。
 また木村長利校長の発言、「教諭は生徒からも保護者からも人気があった。行き過ぎた指導や体罰があったとは聞いていない」も全くの論外です。今回の事件の経過そのものが悪質な暴行であり、見方によっては「体罰」であり行きすぎた指導とも解釈できます。それも事件発生直後から2年半の間ずっと問題になっていたにもかかわらず「聞いていない」など、よくぬけぬけとそんな嘘が言えるものだとあきれます。
 こんな嘘にまみれた言い分が新聞に掲載されることで、結果的に「被害者が被害を訴えることが悪い」かのような世論のミスリードにもつながりかねません。
 書類送検後の田中秀昌の様子について知人の柔道関係者に取材したところによると、「学校を辞めなければいけないと落ち込んでいる。」とされていますが、これも怪しげなものです。
 本当に落ち込むような感性があるのなら、事件発生直後に謝罪して誠実な対応をとるはずです。しかし田中は開き直って一言の謝罪もしていない上に、警察の事情聴取に対しても「指導」「しつけ」などと強弁しています。田中は事件そのものには反省していない、マスコミ沙汰になって全国的に知られたことに逆恨みしているだけ、と判断するのが妥当です。
 今回の問題は、偶発的な事故ではありません。きわめて悪質な暴行です。しかも全国レベルの成績をおさめた経験もある柔道有段者が普通の無抵抗の中学生に対して一方的に暴行を加えたということからも、より悪質だといえます。
 田中秀昌の刑事処分については最大限の厳罰に処すべきですし、傷害罪ではなく殺人未遂に切り替える方がよいと考えられます。また横浜市教委や学校も、田中をかばって被害者を攻撃するということをやめるべきです。