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扶桑社教科書採択取り消し求め提訴

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 東京都杉並区で昨年、中学校の歴史教科書に扶桑社版を採択したことをめぐって、区民8人が採択取り消しを求める訴訟を起こしました。

採択取り消し求め提訴 扶桑社教科書で杉並区民〔「共同通信」2006/2/9〕

 東京都杉並区が、中学歴史教科書として「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した扶桑社版を採択したことをめぐり、同区の住民8人が、採択の過程で著しい不正があったとして、区に採択取り消しなどを求め9日、東京地裁に提訴した。

 訴状によると、杉並区教育委員会は昨年8月12日、採択を決定。原告らは、社会科教師が同教科書についてマイナス評価とした報告書を、校長が書き換えて提出するなどの不正があったとしている。

 また、子どもに希望する教育を受けさせる機会を奪われたとして、原告1人当たり1000円の賠償も求めている。

 杉並区教育委員会は「教科書採択は法令などに基づき適正に行われた」としている。

 社会科教師の報告書を書き換えさせられたことに関しては、2005年7月に以下のように報じられています。

「つくる会」教科書に不利な報告 校長指示で書き換え 東京・杉並 中学教員2人が会見〔「しんぶん赤旗」2005/7/28〕

 東京・杉並区で、教科書採択に向けて同区の中学校の社会科教員が区教科用図書調査委員会に提出した教科書調査報告書をめぐって「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を「適切でない」と評価した部分を校長の指示で書きかえさせられていたことが二十七日、明らかになりました。

 書き換えを命じられた教員二人が記者会見。区立中学校の社会科の女性教師は、報告書の総合所見に扶桑社の歴史教科書を「適切でない」とし、他の教科書について「やや適切」などとしたことに校長からの指示を受けて書き直しをさせられたことを明らかにしました。

 別の区立中学校の男性社会科教師は報告書に扶桑社の歴史教科書について「神武天皇を『初代天皇』=大和朝廷のはじまりとは誤り」としたのを「疑問がある」と書き直すよう指示されるなど、扶桑社の歴史、公民教科書についてのみ書き直しさせられました。

 記者会見した杉並区教職員組合の長谷川和男委員長は「教科書採択に向けた意図的なものを感じる。はじめから(扶桑社教科書の)採択先にありきではないか」と批判しました。

 書き直しを強要されたことは、教員としての良心や、学問上の真理をゆがめるものです。

 教育的な立場から検討を加えた「扶桑社版は適切でない」という総合所見の書き直しを強要されたことは、扶桑社教科書を何が何でも採択させるために、批判意見を強引に封じようとしたものだと判断せざるを得ないでしょう。また、「神武天皇を『初代天皇』=大和朝廷のはじまりとは誤り」としたのを「疑問がある」と書き直すよう指示されたのは、歴史学の基本を無視したものです。

 またこのほかにも、扶桑社教科書に疑問意見を表明した教育委員に対して「つくる会」側が恫喝するなどの事件も、杉並区の教科書採択の過程で発生しました。

 杉並区での教科書採択の過程では、形式的には法令に基づいているようにも見えながらも、具体的な中身を検討すると不正があったといえます。

 裁判の過程でも、杉並区での教科書採択の問題点が少しでも明らかになるように願います。また同時に、世論を広げ、扶桑社版教科書の危険性を社会に広く明らかにすることや、またよりよい教育を作っていくためにはどのようにしていけばよいかなどといったことについて、多くの民主的な世論を喚起していくことも課題になってくるでしょう。