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『はだしのゲン』学校で閉架措置に:島根・松江市

 島根県松江市教育委員会が市立小中学校に対し、「過激な描写がある」などとして漫画『はだしのゲン』を閉架措置にし、子どもが自由に手にとって見られないように指示していたことが、8月16日までにわかった。

 背景には、在特会関係者の極右活動家の策動があったという。極右活動家が2012年、「間違った歴史認識を植え付ける」などとして『はだしのゲン』の学校図書室からの撤去を求める請願を松江市議会に出した。この極右活動家はブログを開設しているが、『はだしのゲン』を名指しして「反日極左」などとブログ上で糾弾していた。
 請願は市議会で否決されたものの、市教委事務局が改めて書籍の内容を検討し、「首を切ったり、女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」として2012年12月の校長会の場で校長に対して閉架措置をとるよう口頭で指示した。
 松江市立小中学校49校中39校が『はだしのゲン』を全巻所蔵しているが、すべての学校で閉架措置をとってるという。
 『はだしのゲン』は、作者の中沢啓治氏の被爆体験を踏まえて、原爆投下前後の広島を舞台にしている。細かい描写部分や時代考証などについてはいろいろな評価があるとはいえども、作品全体としては原爆や戦争の悲惨さを伝えるものとして高く評価されているものである。
 平和学習の教材と興味本位のグロテスクを意図的に混同して、「過激な描写」として子どもの手にとらせないというのは、原爆被害の風化につながるおそれもある。戦争の被害を後世に伝える取り組みを骨抜きにしたり、ひどい場合は戦争を美化したりすることにつながっていくのではないか。
 また今回の事案の背景には、在特会などの過激な右翼が、彼らにとって気に入らないものを「反日」と決めつけて弾圧や抹殺を図ろうとした問題もある。これは平和学習や戦争体験の継承という課題のみならず、表現の自由や図書館・図書教育の観点からも問題である。
(参考)
◎はだしのゲン:松江市教委、貸し出し禁止要請「描写過激」(毎日新聞 2013/8/16)