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保育面積基準緩和は危険

 全国保育団体連絡会(全保連)が4月28日に実施した、保育面積基準の違いによる保育の質への影響を検証した実証実験。詳しい中身が各メディアで報じられている。

 東京都が特例で認め、また国の規制緩和案でもある「0歳児・1歳児混合で1人あたり2.5平方メートル」の基準に沿い、45平方メートルに子ども19人と保育士5人が配置されたときの検証結果がものすごいことになっている。

保育士5人に見守られる中、ついたてで区切られた45平方メートルの部屋で19人の子供たちが遊び始めると、狭い空間の中でぶつかり合う場面も。だが、保育士は泣いている別の子供に気を取られ、対応が追いつかない。昼寝用の布団が敷かれると、歩くスペースは消え、遊びの場は部屋の隅に追いやられた。(産経新聞 2013年4月29日『保育所待機児童ゼロ実験 19人を保育士5人で、ぶつかり泣く子も』)

昼寝のための布団を敷くと部屋がほとんどいっぱいになり、遊び続ける子どもどうしが交錯する場面がありましたが、保育士は、泣いている子どもをあやすのに手がいっぱいの状態でした。(NHKニュース2013年4月29日『保育所 狭いと保育の質は下がるか』

 記事を読んでいるだけで、状況が浮かび上がってきて恐ろしくなる。全保連は今後、ウェブサイト(http://www.hoiku-zenhoren.org/)で実証実験の映像を公開することにしているという。

 今回は数時間程度の実証実験だとはいえども、実際にこの基準が実施されれば、こういう状況が毎日続くことになる。

 狭い空間に詰め込まれることで、子ども同士が交錯しあい、また保育士が目が届かないとなると、事故の危険性が増す。けがをしたり命に関わる危険性がより高まることになる。また物理的なことだけではなく、狭い空間に詰め込まれることや、保育士の目が届かないことで、子どものストレスが増大して精神的な発達にも影響を与えるのではないか。

 「規制緩和」などとんでもない話である。

 もっとひどい「規制緩和」をおこなったのが橋下市政の大阪市。大阪市は従来は、国の最低基準を上回る保育面積基準を独自に設定して運用してきた。しかし橋下徹大阪市長と与党の「大阪維新の会」のもと、基準を児童1人あたり1.65平方メートルまで押し下げている。今回の検証での2.5平方メートルよりも下回る基準となり、さらに恐ろしいことになることは容易に予想される。

 大阪市での基準押し下げは、付帯決議がついて実際の実施は保留されている。しかし条例そのものは生きている形になっているので、いつ実行に移されてもおかしくない。

 「待機児童」さえ数値の上で解消されればそれでいいのか、といえばそうではない。「私たちはただ子供を預けられればいいのではなく、安心、安全な環境で過ごしてもらいたい」(保育所拡充を求める団体で活動する母親、産経新聞より)、「保育士に余裕がないから事故が起きるのだと思う。保育所に入れる親の苦労も入れて欲しいという気持ちもよく分かるが、詰め込むのではなく、基準を満たす施設を増やして欲しい」(子どもを保育事故で亡くした母親、NHKニュースより)という保護者の声が、報道で紹介されている。子どもがのびのびと育つことができる環境、保護者が安心して子どもを預けられる環境の充実こそが求められている。