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特定の日本史教科書を締め出す東京都教委

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 東京新聞2013年4月19日朝刊に『特定教科書 締め出し 国旗・国歌記述「都教委、合わない」』が掲載されている。東京都立高校の教科書採択について、特定の日本史教科書を採択しないよう東京都教委が圧力をかけている件に関する記事である。

 問題の教科書は、実教出版の『高校日本史A』。2012年度版新課程対応教科書では、『日の丸・君が代』について「一部の自治体で強制の動きがある」と記述がある。
 東京都教育委員会はこの記述を問題視した。東京都ではここ10年ほど「日の丸・君が代」強制の動きが他の自治体と比べても際だち、教諭らから処分取り消しを求める訴訟なども多数起こされていることが背景にあるとみられる。
 都教委は2012年度1年生の科目として『日本史A』を開講する学校のうち実教出版の教科書を採択しようとした学校に対し、教育委員会から校長に圧力をかけて採択を取りやめさせることをおこなった。
 記事では、都立高校で日本史を担当していた元教員への取材もおこなっている。

 「『絶対変えろ』と言われたわけではないが」。今春退職した元都立高校日本史教諭の男性(60)は、語尾に悔しさをにじませた。「実質的には決定をねじ曲げられた」
 教科書は使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告をもとに教委が採択する。男性の高校で一年生に教える近現代史が中心の「日本史A」の教科書選定では当初、「レイアウトが優れている」などの理由で、四社のうちから実教出版の教科書を選ぼうとした。だが校内の正式な選定を控えた昨年七月上旬、都教委から校長に「実教版は都教委の方針と合わない面がある」などと二回、電話があったという。
 都教委は、都立高二百三十校のうち、一年生に日本史Aを教える十七校全校を対象に電話したことを認めている。実教版が国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と側注で記していることについて「都教委の考え方とは相いれない」と指摘していた。
 男性の高校はこの二度の電話の後も、実教版を選ぶ方針を変えなかったが、さらに七月下旬、二度電話があり、校長が別の教科書への変更を決めたという。
 最終的に、男性の高校を含む十七校のうち実教版を選んだのはゼロ。しかし、全国シェアは14%に達しており「不自然な採択結果」(高校教員)との指摘が出ている。

 この経過は、都教委が一方的に圧力をかけ、学校側の決定をねじ曲げたとみられるべきものであろう。
 問題の教科書は、2012年度入学の1年生から学年進行で使用される、新学習指導要領対応版である。日本史科目の開講学年についてはとくに指定はなく学校裁量に任されている。2012年度には1年生で開講する学校での採択が問題になったが、2013年度には1年生だけでなく2年生で同科目を開講する学校でも新課程対応教科書を使用することになり、採択で問題になる学校が増えることになる。
 都教委は「情報提供しているだけ」として、強要は否定している。しかし特定の教科書を名指しして採択しないように電話しているのは、採択させないための圧力以外の何物でもない。
 都教委はこういう行為をやめ、学校の自主的な採択を尊重すべきではないか。