君が代処分取り消しで再審請求:北海道教委

 北海度倶知安町立中学校の卒業式で「君が代」演奏を「妨害」したとして懲戒処分を受けた教諭に対して、10月に人事委員会が懲戒処分を取り消す採決をおこないました。このことについて、北海道教育委員会は11月30日までに、採決を不服として再審請求する方針を決めたということです。〔『北海道新聞』2006/12/1

 この問題は、当ブログ2006年10月25日付『「君が代斉唱妨害」処分取り消し:北海道』でも取り上げました。問題の発端は、「職員会議にもかけず、また式次第にも載せていないにもかかわらず、校長が卒業式当日に突然『君が代』のCDを式場で流そうとした。該当教諭は、校長の行動を止めた。校長の行動を止めた教諭の態度が処分対象となった」ということです。
 以下の理由で、教諭の行為は処分に値せず、また人事委の処分取り消しは正当だと考えられます。

  • 校長が「君が代」の音源を勝手に持ち込んで勝手に流したため、教諭がそれを止めたことが処分対象となった。本来なら教諭ではなく、校長が「卒業式の妨害者」と見なされてもおかしくない。
  • 校長が一方的に「君が代」を流そうとしたことは、式運営上の重大な瑕疵。校長の独断で卒業式を運営するのは、学習指導要領に反する。
  • 「日の丸・君が代」強要は、推進者が根拠としている学習指導要領全体との間ですら、「心身の調和のとれた発達と個性の伸長」「自主的,実践的な態度」などとする、学習指導要領の特別活動の目標と整合性がとれない。さらに思想信条の自由を定めた日本国憲法にも抵触するうえ、「強制は望ましくない」とした国旗・国歌法とも矛盾する。

 再審請求について北海道教委は「指導要領の法的性格解釈や手続き、ほかの類似事案との兼ね合いについて、道人事委の判断には遺漏がある」と主張するということです。しかし、学習指導要領の法的性格解釈や手続きにうんぬんという主張の前提にそもそも無理があるのですから、遺漏とはいえないと考えられます。
 また教師としての能力には全く関係のない「君が代」問題で該当教諭を苦しめたり、長い時間と労力とを費やすぐらいなら、教育委員会としてもっとほかにやることはあるでしょう。仮に暴力教師や生徒いじめ教師などの処分が取り消されたのなら別ですが、「君が代」問題はそんな問題とは全く異なり、再審請求をする必要はありません。
 北海道では、滝川市のいじめ自殺事件についても十分に解明されていないどころか、道教委担当者までもが不適切な対応をしたという例も報じられました。「君が代」に時間と労力を割くぐらいなら、その分を滝川の事件の真相解明に費やせないものでしょうか。
 またほかにも、いじめや「教師によるいじめ」・「体罰」など子どもに危害が加えられている事例への対応、学校施設の整備、未履修問題、高校授業料や奨学金制度など、ほかにもっと力を入れるべきところがたくさんあるのではないかと感じます。