桜宮高校「入試中止」方針、受験生はじめ各方面から批判

 大阪市立桜宮高校「体罰」自殺事件に関連して、橋下徹大阪市長が同校の体育系学科の入試中止を打ち出したことに対し、大きな批判が起きている。

 NHKニュースによると、高校受験を控えた中学生が情報交換するインターネットサイトの桜宮高校の掲示板には、同校体育科の受験を考えている生徒から批判や不安の声が上がっていると紹介されている。いかが、受験生の声として紹介されていた書き込みである。

「なんで何にもしてない受験生が被害受けなあかんのですか。自分は桜宮高校体育科に入るためにずっと頑張ってきました。それが一瞬で無くなるなんて気持ち分かって貰えないんですかね?多分、他の受験生も同じ気持ちやと思います。夢叶えるために必死に頑張ってきたのに最後の最後で、簡単に中止とか言われてほんまに最悪です」
「涙がでました・・・。体育科にいきたいから勉強めちゃくちゃ頑張ったのに・・・。もう桜宮体育科以外、行きたい学校がないです・・・大人が勝手に決めるのは間違ってる!」
「部活もちゃんとできるかわからんし。受験する側からしたらほんまに不安で不安で」
(NHKニュース2013/1/18『“入試中止”掲示板に批判の書き込みも』)

 受験生の気持ちを考えると言葉もない。
 「体罰」・暴力が起きないような学校を作っていくことは第一義的な課題だし、その方向でこそ取り組んでいかなければならないのは言うまでもない。しかし、橋下徹大阪市長が打ち出すような、教職員の総入れ替えだの入試中止だのという方向性では、そういう目的は果たせない。何も非のない在校生や受験生を問題教師の身代わりに犠牲にさせて別の意味での犠牲者を生むだけで、暴力問題の事実解明や教訓もあいまいにされ、事件の再発防止にもつながらない。
 もちろん暴力を常習的に加えていた顧問教諭や、暴行の事実を知りながら隠蔽した管理職については、懲戒処分や転任などの措置は当然考えられるだろう。一方で根本的な対策は「体罰」・暴力事件の全容解明の作業であり、再発防止策の徹底である。
 亡くなった生徒は、暴力を振るわれることのない環境で普通に部活動がしたい・学校生活を送りたい・将来の進路に向かって頑張りたいと思っていたのではないだろうか。学校をつぶしたり、他の生徒や受験生が理不尽な思いをすることなど全く望んでいなかったのではないのだろうか。
 学校がなくなって生徒がいなくなれば「体罰」事件も起こりようがないという話に持っていっても仕方がない。それでは桜宮高校一つをつぶしても根本的解決にはならず、日本中の学校を全部つぶせという極論になってしまう。そうではなく、入試は予定通り実施し、教職員を特別に加配したり心のケアなどの取り組みなど考えられる対策をとって、通常の教育活動も確保しながら事件の全容解明と再発防止策を整えていくことが重要ではないだろうか。
 それとも、もともと「体罰」大賛成の橋下市長のことだから、「体罰」被害を訴えた者が悪い、騒ぐ生徒と保護者・マスコミが悪いという間違った方向に在校生や受験生を誘導する気なのだろうか。
 入試中止については、各方面からも再考を求める意見が寄せられている。これまでに、中学校長会、大阪市会の複数会派、大阪弁護士会所属の弁護士有志、新日本婦人の会大阪府本部、保護者らで作る市民団体「発言する保護者ネットワークfrom大阪」などが、入試中止を批判する声明文や要望書を出している。
 しかし橋下市長は「そんな校長は外部公募で交代させる」(校長会に対して)、「弁護士らしい、視野の狭い意見だ」(弁護士有志の声明に対して)など、恫喝や罵倒とも言える対応で全く聞く耳を持とうとはしていない。
 大阪市教育委員会は週明けの1月21日夕方に教育委員会会議を開き、入試を中止するかどうかの判断をすることになっている。橋下市長は予算執行権もちらつかせて脅しに入っているが、教育委員会が適切な判断をすることを強く願うものである。