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「教育バウチャー制度」と公教育

 安倍晋三氏が「教育バウチャー制度」の導入を検討する考えを表明したという報道がされました。

学校選択へ利用券制検討 「公教育を再生」、安倍氏〔『共同通信』2006/9/9〕

 安倍晋三官房長官は9日、自民党本部で開かれた総裁選立候補者の立会演説会で、首相に就任した場合の早急に取り組む課題として教育改革を挙げ、児童、生徒や保護者が自治体から配布された利用券を使って学校を選択する「教育バウチャー制度」の導入を検討する考えを表明した。

 安倍氏は「すべての子どもに高い水準の学力と規範を身につける機会を保障しなければならない。そのためには公教育の再生が必要だ」と強調した。

 バウチャー制度は、公立学校間の競争を促し、公教育のレベル向上を図り、私立学校に生徒が流れる現状に歯止めをかけるのが狙い。麻生太郎外相も政権構想に盛り込んでいる。

 自民党総裁選だけならば「自民党の中の問題」で、外部からあれこれ言う必要はありません。しかし9月下旬におこなわれるとみられる首班指名で首相に選出される可能性が高いのは、国会第一党の党首となる次期自民党総裁です。安倍氏は次期総裁の最有力候補で、すなわち次期首相になる可能性が高くなります。ということは、安倍氏の意向が政府の文教政策にも反映されかねません。

 「学校バウチャー制度」なる構想ですが、日本の公教育の制度の根底を崩す構想だと、強い危惧を持ちます。

 「能力に応じて等しく」教育を受けさせる権利を保障するには、すべての学校について一定レベルでの整備をすすめていかなければなりません。行政としては、どの学校に進んでも十分に行き届いた教育を受けられるように整備していく義務があります。そのことが結果的に、公教育全体のレベル向上につながります。

 しかし「教育バウチャー制度」なるものでは、レベル向上どころかレベルの低下や学校現場の荒廃すら招きかねません。

 「学校間の競争で、学校が活性化したりレベルが向上する」という考え方に基づいて「学校改革」をすすめた結果、学校間の競争は過剰化し、学校が疲弊化したり教育体制にゆがみが生じたりして、子どもや教職員にとってはろくなことがないというのは、一部の地域でおこなわれている「地域統一学力テスト」や「学校選択制度」などで証明されていることです。「教育バウチャー制度」では、同様の混乱を全国にまき散らすだけだと考えられます。