読売新聞:連載特集で浦安事件を紹介

 読売新聞大阪本社版で「性暴力を問う」という連載が掲載されています。
 2010年12月2日付の記事「第5部 今、法廷で<5>被害認定民事でやっと」では、いわゆる浦安事件について触れられています。

 浦安事件は、知的障害を持つ小学生(当時)が2003年、通っていた千葉県浦安市立小学校で、養護学級担任教諭から暴力やわいせつ行為の被害を日常的に受けた事件です。読売新聞の記事では事件の経過を詳しく紹介しています。
 刑事裁判では証人尋問で、被害児童が混乱してしまった場面もあり、刑事裁判では加害者の教諭への無罪が確定してしまいました(加害者は無罪確定後に依願退職)。
 その後被害者家族は民事訴訟に訴えました。争点の一つは「知的障害児の被害申告や供述の信用性」にありました。弁護側は「性的虐待を受けた子どもの供述は揺れ、空想が交じりやすい」「知的障害者は日時の記憶が困難」などと主張し、民事二審東京高裁(2010年3月24日)では「被害の日時や回数について正確な記憶がなかったとしても信用性は否定されない」と判断し、加害者の暴力・わいせつ行為が大筋で認められました。
 この事件は、知的障害者問題という意味でも、また学校・子どもに関わる問題という意味でも、さらには裁判のあり方という意味でも、きわめて重要な教訓を残した事件だといえます。
 被害者家族は読売新聞の取材に「泣き寝入りしてきた知的障害者は多いと思う。法廷を、弱者を苦しめる場ではなく、救う場にしてほしい」と話したといいます。
 浦安事件では、訴訟が進むごとに被害の認定範囲が少しずつ拡大し、最終的には暴力・わいせつ被害という面に限れば全面的に近い形で認定された形になりました。しかしそこに至るまでの、被害者の方やご家族はじめ関係者の皆さんの心労については、察するにあまりあります。
 しかし似たような事件では、裁判に至っても主張が全面的に却下されたり、そもそも被害届すら受理されなかったという例も多くあると聞いています。
 成年者の知的障害者が被害者となった事件の例ですが、宮崎県で発生した知的障害者へのわいせつ事件の刑事裁判について、地裁が「告訴能力なし」と判断して検察官の起訴を無効とした事例がありました。検察側は高裁に控訴し、年内にも判決が出る予定だといいます。
 また知的障害の有無に関わりなく広く子どもという意味でとらえても、初期の段階で被害を正確に聴き取って被害申告の正確性を吟味するような仕組みを構築させることが重要になってきます。性犯罪だけでなく虐待や暴行・通り魔的な事件などのあらゆる被害も含めて、知的障害児に限らず児童全般・特に小さい子どもが被害に遭うような事件については、似たようなことが問われることになります。
 加害者が自ら犯行を認めない限り、たとえ犯行をおこなっていても裁けないというのならば、被害者は救われませんし社会正義にも著しく反することになります。裁判のあり方としても、現行制度の不備を見直すような運用となっていくことが求められます。
(参考)
浦安事件・被害者とその家族を支える会