桐生市小学生自殺:遺族は誠実な対応求める

 群馬県桐生市立新里東小学校の自殺事件で、『産経新聞』が『桐生の小6自殺 金銭でなく「誠意を」 父親強調、弁護士と一線 群馬』とする記事(web版、2010/11/27配信)を掲載しています。

 記事によると、父親はいじめと自殺との因果関係を認めてほしいという点に主眼をおき、金銭的な賠償請求は一切考えていないとしています。
 一方で代理人弁護士は「損害賠償訴訟も視野に入れるべきではないか」と考え、遺族を説得することを検討しているといいます。
 記事を一見すると、弁護士が遺族に金銭的要求をそそのかしているという風にも読めてしまいます。また遺族と弁護士との間に溝があるとも読めてしまいます。記事の表面的な内容だけをなぞった人によって、遺族や代理人弁護士への中傷が起こる危険も心配してしまいます。
 しかし、いじめ問題や学校事故・学校災害での訴訟は、この記事の表面的な内容だけでは片づけられません。
 学校での事件・事故が訴訟に至るケースでは、金銭目的などというのはありえません。むしろ勝訴しても経済的には差し引きマイナスという例が圧倒的多数にのぼります。
 学校災害の被害者や遺族は、まずは学校・教育委員会の誠実な調査・対応を求めて動くことになります。しかし学校や教育委員会が誠実な対応を取らずに事件・事故の責任逃れや、被害者や関係者への中傷、また故意での事件・事故の場合は加害者擁護などを繰り返したため、事態がこじれて「真実解明や被害者の名誉回復のためには訴訟するしかない」という状況に追い込まれてやむなく訴訟を起こす、という例ばかりです。
 被害者側が訴訟回避を願って学校・教育委員会や加害者との話し合いの場を設定しても、学校や加害者の態度によって逆に訴訟に踏み切らざるを得なかったという例も多くあります。
 父親は現時点では、学校・教育委員会の誠実な対応による解決を願っているようです。一方で学校・教育委員会の対応次第では、いつ気持ちが変わってもおかしくありません。訴訟を回避できるかどうかは、学校・教育委員会の対応次第だといえます。