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学校トラブルと第三者機関

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 『毎日新聞』2010年9月11日付に『新教育の森:学校で起きた問題、第三者機関が調査 設置自治体増える』が掲載されています。

 いじめや教師の暴力・わいせつ行為など、学校関係の事件事故について、第三者機関を設置する動きが全国的に進んでいることを紹介しています。

 設置している地域での活動の実例、未設置地域で発生した事件で被害者が受けた苦労、また設置していても実質的に機能していない自治体もあるという課題などを指摘しています。

 第三者機関設置が一定の効果を上げた事例として、1999年に兵庫県川西市立中学校で発生したラグビー部員熱中症死亡事故があげられています。この事故では第三者機関の調査により事故の背景が明らかにされ、教師・指導者向けの事故防止指導・安全指導が一定進んだということです。

 また第三者機関がなかったことで被害者が苦労を強いられた事例として、北海道滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件(2005年)と浦安事件(2003年。千葉県浦安市立小学校養護学級担任による、受け持ち児童への悪質な暴行・性的虐待事件)の事例があげられています。

 滝川いじめ自殺事件でも浦安事件でも、市当局は隠蔽対応を徹底し、被害者側は民事訴訟に訴えざるを得なくなりました。なお浦安事件では、被害者は多数いたにもかかわらず、訴訟に訴えることができたのは1家族だけでした。

 滝川いじめ自殺事件では、自殺した児童の母親は「真相究明は学校では無理だし、訴訟を起こせば『お金目当てだ』と陰で言われる。中立な人に調査権限を与えてほしい。教師のいじめ放置や、いじめそのものの抑止力にもなる」と訴えています。

 浦安事件では第三者機関どころか、松崎秀樹浦安市長自らが加害者に弁護士を紹介するなど、同種事件と比較しても異常な対応がされました。

 また市当局だけではなく、浦安事件を報じた『毎日新聞』2006年6月1日付記事に対して、加害者側を支援する「人権と報道・連絡会」なる自称「人権団体」の山際永三なる事務局長の名義で、嫌がらせともいえるような「抗議」がおこなわれた事件もありました。今回の「新教育の森」を書いた記者は、当時因縁を付けられた記事を書いた当事者にもあたります。

 このほかにも、インターネット上では完全匿名を貫きながらも、書き込みの内容や周辺の状況証拠を総合すると加害者本人としか考えられない者が、インターネット上で事件被害者やその関係者を執拗に中傷していることも確認されています。

 浦安事件では民事訴訟で、加害者が被害者に暴力を加えたこと・胸を触るなどしたこと・下半身を露出したことなどを明確に認定し、損害賠償を命じる判決が確定しました。浦安市は判決確定後も、「市の調査で事実確認できなかった」「刑事裁判では無罪だった」などとして、事件はなかったという態度を貫いています。

 しかし市の調査で確認できなかった事実関係が裁判で認定されたわけです。また刑事裁判で「無罪」といっても、その中身は「加害者が被害者に対して犯行をおこなった事実自体は疑う余地がない。しかし刑事事件として立件された個別の事件については、時間と場所の特定が不十分と判断した。刑事裁判の性質上、このような場合には有罪判決を出せないからやむなく無罪」という、裁判制度の穴に救われた形での「無罪」でした。「事件自体が存在しない」「真犯人が別にいる」などの潔白という意味での無罪ではありません。さらに民事訴訟では、刑事裁判で「無罪」とした根拠を事実上否定する形で加害行為を認定しています。

 これらの事件では、第三者機関が公正に調査をおこなっていれば、また違った展開になっていた可能性があります。

 一方で地域や事件によっては、第三者機関の調査権限などが制限されて十分に機能していないことも指摘されています。過去に問題となった事件でも実際に、第三者機関といえども教育委員会寄りの人選がされ、学校・教育委員会にとって都合のよい結論を無理に導き出そうとしたとみられるような結果を発表したこともありました。これでは結果的に、第三者機関の名目での隠蔽工作になってしまうことになります。

 第三者機関が名実ともに公正中立な第三者として調査運営をおこなえるためにも、一定の改善が必要になってくるといえます。