児童虐待で通報ためらう傾向:教員・歯科医への調査

 児童虐待に関する2つの調査で、虐待の兆候を発見しながらも通報を躊躇する傾向があることがわかりました。

 厚生労働省研究班が2009年1~3月に全国の小中高校・幼稚園教員約1万7千人を対象に実施し3734人から回答があった調査では、33人の教員が2008年に児童・生徒の性的虐待被害の兆候を発見しながらも、約半数の16人が児童相談所への通報をしていなかったということです。通報しなかった理由としては「本当に虐待なのか確証がない」という回答が目立ったといいます。
 なお、2008年度に児童相談所が把握した性的虐待の相談・通報件数は1324件で、学校・幼稚園からの相談は240件だったということです。単純に考えても、児童相談所が把握していない性的虐待が相当数あることが推定されます。
 また、日本小児歯科学会が小児歯科の専門医師1259人を対象に実施し580人から回答があった別の調査では、半数近くの歯科医師が「虐待の疑いがある子どもを診た経験を持つ」と回答したものの、「虐待かどうかの判断が難しい」「違っていたら怖いので通報できない」などとして実際に通報した経験を持つ歯科医師は回答者の約7%(全体では約3%)にとどまったということです。
 さらに「児童虐待の通報義務を知らなかった」「通報先がわからない」「歯科医師の専門団体が作成した児童虐待対応のガイドラインを知らない」と回答した歯科医師も相当数いたといいます。
 日常業務で子どもに接することを通じて児童虐待を発見しやすい立場にある教員や歯科医師の間でも、児童虐待に対する対応・通報体制が十分に浸透していない現状が浮き彫りになります。
 誤りだった場合を恐れるということが通報をためらう理由としてあげられていますが、通報できなかった結果重大な結果になってしまう可能性があることを考えれば、遠慮なく通報するようにした方が結果的によいことになります。
 また、児童虐待に関する通報体制の周知徹底を図っていくことも、社会的に求められているといえます。
(参考)
児童への性的虐待、半数の教員通報せず 「確証がない」 (asahi.com 2010/8/13)
小児歯科医の半数、虐待疑いの子ども診察 通報は1割弱 (asahi.com 2010/8/13)