※当ブログは新サイト に移転いたしました。

新規の編集は、新サイトの方で実施しています。

浦安事件:浦安市は上告断念でも無反省?

スポンサーリンク

 千葉県浦安市立小学校で2003年に発生した「浦安事件」(養護学級担任教諭による知的障害児への暴行・わいせつ・虐待事件)の民事訴訟では、浦安市は2010年3月24日の東京高裁判決を受け入れ上告しないと報じられました。

 浦安市のウェブサイトに、上告断念に関する詳細な声明が出されていました。

元市教諭に関わる損害賠償請求控訴事件の判決に対する上告及び上告受理申し立てについて(2010年3月29日)
 本訴訟は、児童に対する元教諭の不法行為について、国家賠償法に基づき市に損害賠償を命ずるものです。
 本市の事後対応義務違反については、被控訴人による本市の監督態勢の強化、特殊学級内の指導体制の見直しという安全確保の措置を講じなかったとの主張は退けられ、第一審同様、事後対応義務違反はないものと市の主張が全面的に認められました。
 今判決では、元教諭の不法行為の一部が認容されましたが、市は、本件の訴訟において被告である元教諭に対する刑事事件における無罪判決を重い事実として受け止めてきたものであり、また、市がこれまでに行ってきた関係者からのできうる限りの聞き取り調査等に基づき、当該教諭の不法行為については一貫して事実は確認できなかったと主張してきたものです。
 しかしながら、事実審が高等裁判所までであることから、高等裁判所において判断がなされた結果を受け止め、市は上告及び上告受理申し立てをしないことといたしました。

 当初の新聞報道(web版)では最後の1段落のみが紹介されていました。被害者側への上告断念の説明でも、最後の1段落のみを説明したということです。
 しかし浦安市の声明を全体的に読むと、「市には非がないし暴行やわいせつの事実も認めないが、裁判上事実を争えなくなったからやむなく判決に従う」と受け取れるような代物です。
 しかも、事実経過のうち都合の良さそうに見える箇所だけを抜き出し、あたかも浦安市が勝訴し、一部のみについて被害者の訴えが認められたかのような書きぶりです。
 確かに、浦安市の事後対応義務違反は認められないという一審の認定を、控訴審でも維持しているようです。しかし、一審判決を不服として控訴したのは浦安市です。一審で事後対応義務はないという主張が認められたのだから、裁判手続きとしては浦安市が控訴する理由はないことになります。それでも控訴したのは、加害者の暴行・わいせつが一部認められたことを不服として、暴行・わいせつの事実を完全にもみ消すためのものであることは明らかです。
 それが完全に失敗し、加害者の加害行為の存在・被害者の被害訴えの信用性が明確に認定され、また被害訴えも大筋で認められたのだから、事実上は浦安市の全面敗訴とみなして差し支えないでしょう。
 あたかも「ごく一部被害者側の主張が認められたが、市の主張は全面的に正しい」かのように描くというのは、悪意を感じます。
 浦安市は一貫して「刑事裁判では無罪」「市の調査で事実は確認できなかった」から、加害者による暴力やわいせつの事実は存在しないとしています。
 しかし加害者への刑事裁判では、加害者が加害行為をおこなったことや被害者が被害を訴えたこと自体については「疑う余地がないようにも思われる」と事実上認定しています。しかし刑事事件として立件された行為について「場所と時間の特定に疑問が残る」として「無罪」になったものです。
 加害行為自体は事実と認められるが、刑事裁判の手続き上有罪にできないと判断したから無罪にしたというだけです。加害者の行為を事実無根と認定したわけではありませんし、加害者の行為を「存在したが合法」と認定したわけでもありません。
 また民事訴訟では、刑事裁判で「無罪」となった事件について、「無罪」とした根拠を否定する形で加害行為を明確に認定しています。
 「市の調査で事実が確認できなかった」からといっても、客観的に「事実そのものが存在しなかった」ということにはなりません。実際、裁判所が裁判の中で事実関係を丁寧に検討する中で、民事一審・二審とも加害者の暴力・わいせつの事実を明確に認定しています。また民事裁判に先立っておこなわれた刑事裁判でも、不十分な形ながらも加害者の暴力・わいせつの存在を示唆しています。
 被害者の支援者の方のブログを読むと、支援者は上告断念を評価しながらも、断念理由については怒り心頭という様子です。
 被害者側の支援者は、千葉県と浦安市に対して「被害者と家族に謝罪すること」「国家賠償法に基づき、賠償金を加害者へ求償すること」の2点を求めることを検討しているということです。
 裁判上は一区切りだとはいえども、被害者が救済されるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。被害者側の支援者の方向性に、当ブログとしても全面賛成です。
 また当ブログとしては、被害者側の支援者が指摘している2点に加えて、千葉県に対して「依願退職した加害者に対して、退職金を返還させること」「教育職員免許法に基づき、加害者の教員免許取り上げ処分をおこなうこと」の2点もあわせて求めます。