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浦安事件:浦安市が上告断念を発表

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 千葉県浦安市立高洲小学校養護学級担任教諭(当時)が2003年、担任クラスの知的障害児に暴力やわいせつ行為を継続的に繰り返した児童虐待事件、いわゆる「浦安事件」で、浦安市は3月29日、被害者が起こしていた民事訴訟(2010年3月24日東京高裁判決)の上告を断念すると発表しました。

 この事件では複数の児童が被害に遭い、児童2人がPTSDと診断されました。また加害者が養護学級担任として着任した直後から、不登校に追い込まれる児童や終日普通学級での学習に切り替える児童が続出するなどしました。

 刑事事件としては児童2人に対する強制わいせつ容疑で加害者を起訴しました。加害者による加害行為があったことや被害者の被害訴えの信憑性自体については「疑問を差し挟む余地はないとも思われる」と事実上認定しながらも、刑事事件として立件された事件については「時間と場所の特定に疑問が残る」などとして「無罪」にしてしまいました。

 被害者のうち1家族が民事訴訟を起こし、一審千葉地裁で2008年12月24日、暴行・わいせつ行為の一部を認めて千葉県・浦安市に60万円の損害賠償を命じる判決を下しました。加害者個人については、国家賠償法により個人の賠償責任は棄却され、行政当局に肩代わりさせた形になりました。一審では、刑事事件で「無罪」とした事件について、「無罪」とした根拠を事実上否定する形で事実関係を認定したということです。

 一審判決は被害の全容からみれば認定範囲は不十分だとはいえども、被害者側は「刑事裁判では認められなかったわいせつ行為が認められたことを評価する」として控訴しないことを決めました。

 しかし浦安市は、暴行・わいせつ行為が認定されたことを不服として控訴しました。千葉県も追随して控訴しました。加害者は県・市の補助参加人となりました。また控訴を受けて被害者側は、一審判決で認められなかった暴行・わいせつについても認定するよう求めて付帯控訴することになりました。

 東京高裁では2010年3月24日、一審では認定されなかった加害者の暴行・わいせつ行為についても大筋で認め、賠償額を330万円に増額する判決を下しました。「加害行為への事実認定」という面からは被害者側の勝訴と言っていい判決であり、また弁護団の予想すら超えるような画期的な判決だったということです。

 新聞報道によると、上告断念の理由について浦安市は「刑事事件の無罪判決や市が行った聞き取り調査から、元教諭の不法行為は確認できなかったと主張してきたが、事実審が高等裁判所までであることから、高裁の判断を受け止める」(読売新聞・千葉版 2010/3/30『元教諭の性的虐待賠償訴訟浦安市が上告断念』)としています。

 「これ以上争うことは困難と判断した」という消極的なものだとも受け取れます。しかしそれでも、高裁判決確定・被害者救済に向かって大きく動き出すことになりました。

 一方で千葉県は3月30日にも協議をおこない、上告するかどうかを最終判断するということです。千葉県でも適正な判断を願います。

(参考)
◎元教諭の性的虐待賠償訴訟浦安市が上告断念(読売新聞・千葉版 2010/3/30)