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読書録:『先生はぼくらを守らない―川西市立中学校熱中症死亡事件』

 『先生はぼくらを守らない―川西市立中学校熱中症死亡事件』(宮脇勝哉・宮脇啓子著、エピック、2004年7月)という本を読みました。

 兵庫県川西市立川西中学校1年生だった男子生徒が1999年7月27日、所属するラグビー部の練習中に熱中症で倒れて死亡する事件がありました。顧問教諭は生徒の異変に気付きながらも「演技は通用しない」などと罵倒してそのまま放置しました。生徒は異常発生から約1時間半後に救急搬送されたものの翌日に死亡しました。

 この事件について、被害者の両親が経過を詳細に記した書籍です。

 この事件では被害者の両親も川西市内の公立小学校教員だということもあり、当初は学校を通じて事実の解明を徹底的におこなうことを求め、訴訟などは一切考えていませんでした。しかし学校や教育委員会の対応があまりにも不誠実なため、刑事告訴や民事訴訟に踏み切ることになりました。

 書籍によると、顧問教諭や学校・川西市教育委員会の事件正当化、市教委が「部活動には問題がなかった」かのようなデタラメな報道発表をおこないそれを元にした新聞記事が書かれたこと、PTAや教職員組合が被害者の両親に圧力をかけたこと、裁判を避けたいとして顧問教諭との話し合いの場を設けたが顧問教諭が不誠実な態度をとったために逆に裁判を決断することになったことなど、克明に記されています。

 また顧問教諭や学校・教育委員会関係者、PTAや地域住民などが、そもそもの発端となった顧問教諭の対応は棚に上げ「被害者とその両親のせいで教師が窮地に立たされた」かのようにすり替え、顧問教諭を弁護しそのためなら生徒や家族を中傷しても意に介さないという状況になったということです。中には「被害生徒は太っていた」など事件とは無関係な内容を持ち出し、しかも持ち出した内容は社会通念上問題となるような内容ではないにもかかわらず、そのことを根拠に「生徒は死んで当然」といわんばかりの中傷もあったということです。

 また裁判の中では、熱中症発症時におこなっていた練習に懲罰的な意味があったこと、顧問教師が日常的に「体罰」を加えていて教育委員会から厳重注意を受けたことも数回あることなどが明らかにされています。

 学校事件・事故では、学校側の事件正当化やもみ消し、さらには学校や地域住民から「被害者が悪い」かのような悪質な中傷がおこなわれることも多くあるのが現状です。

 極端な場合には、福岡市で児童にいじめや暴行を繰り返した児童虐待教師・林田真二の問題で、福田ますみなるライターの名義で「事件は被害者のでっちあげ」かのような嘘・デタラメを一方的に書き連ねて被害者を攻撃する書籍を出版した事件や、丸子実業高校いじめ自殺事件で加害者側が「被害者の母親がいじめをでっちあげて部活動運営に悪影響を与えたため精神的苦痛を受けた」などと逆切れデタラメ訴訟を起こした事件といったものまであります。

 この書籍は内容が内容だけに正直言って重いのですが、学校事件・事故での被害者の置かれた立場や被害者攻撃の中身を知るには重要な資料だといえます。このような事件で被害者を中傷して二次被害を与えるようなことは本来ならばあってはいけないことですし、中傷に加担してもいけません。