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全国体力テスト、社説を読み比べる

 先日結果が発表された「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)について、2009年1月25日付で「信濃毎日新聞」と「産経新聞」が社説を掲載しています。

 「信濃毎日新聞」では「子どもの体力 全員調査は必要ない」と題し、今回の調査には否定的な見解を示しています。同紙では、今回の調査はかねてから抽出調査で指摘されていた傾向と変わらないことを指摘し、多額の費用をかけて全員調査を続ける必要があるとは思えずその分の予算を環境整備や指導者の充実に回した方がよいと提言しています。また「このテストが、数値や順位だけで能力を判断する風潮を強めないか、心配にもなる。」とも指摘しています。
 一方で「産経新聞」の「【主張】全国体力テスト 学力と同様に競い合いを」では対照的な主張をおこなっています。「全員参加型調査で明らかになった課題や体力向上へのヒントは多い」などと指摘し、「運動会で順位をつけないなど悪平等の体質は、学力面ばかりではない。上位に学べるよう全国調査の利点を生かすことが重要だ。」と結論付けています。
 今回の全国体力テストの経過や結果を素直に読む限り、「信濃毎日新聞」の主張通りになり、「産経新聞」のような主張が入り込む余地はないと感じます。
 実際問題として、今回の調査は従来型の抽出調査と結果に大差がありません。わざわざ全員調査でおこなわなければならないような必然性も見当たりません。一方で各地方紙の報道では、「自分の県は全国平均と比較して」という観点からの報道が目立ち、平均点や順位だけを絶対視する風潮が生まれていることは明らかです。平均値や順位だけを絶対視しても仕方がありません。平均値や順位を過剰視・絶対視する風潮に警鐘を鳴らすことを「悪平等」かのように描くことに至っては、なんということかという思いです。
 一人一人の児童・生徒の現状把握なら学校内での調査で十分ですし、全国的な傾向を知りたければ抽出調査で十分です。全国体力テストについても、本質的には全国学力テストと同様の問題を抱えているといえます。