※当ブログは新サイト に移転いたしました。

新規の編集は、新サイトの方で実施しています。

君が代不起立での再雇用拒否は裁量権逸脱、一方で不合格取り消し認めず:東京地裁

 東京都立高校元教諭の男性(62)が、卒業式での「君が代」不起立を理由に定年退職後の再雇用が認められなかったのは違法だとして、再雇用や損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は1月19日、不起立での再雇用拒否は裁量権の乱用として、再雇用されていた場合の1年間の給与額に相当する約211万円の損害賠償を命じる判決を出しました。

 一方で再雇用を求める訴えについては、「不合格は行政処分にあたらない」として不合格処分の取り消しは認められませんでした。また元教諭に対して起立を命じた職務命令も合憲と結論付けています。
 「君が代」不起立問題については、東京都だけでも同種の訴訟がいくつか同時並行的におこなわれています。今回の訴訟については、都立南葛飾高校定時制の卒業式で2004年に「君が代」不起立を理由に戒告処分を受けた教諭に関するものです。男性はその後、諸事情を考慮して不本意ながらも起立していました。2007年3月に定年退職を迎えることになり、直前に嘱託教員としての再雇用を申請しましたが、不起立を理由に同年1月に不合格となったということです。
 判決では教諭の不起立について「他の教職員や生徒らに不起立を促すものではなく、式典の進行が阻害された形跡はない」などと指摘し、「不起立を過大視し、社会的相当性を著しく欠いており、都教委は裁量権を逸脱した」と結論付けています。
 訴えの一部が認められたとはいえども、判決は十分だとはいえません。原告側は「教壇に立つことが目的」として控訴する方針だということです。
 個人の思想信条や内面の問題に過ぎない「君が代」問題で、しかも不起立を他人に強要したり妨害行為をしたわけでもないのに、定年退職後の再雇用を拒否するような道理はどこにもありません。だいたい、「君が代」での起立を強要する行為こそが、日本国憲法や国旗・国歌法、また学習指導要領の観点からみて問題のあるものです。
 「君が代」問題での東京都の強要の異常さは際だっていますが、不起立を理由にした再雇用拒否、すなわち起立しない教員は不適格などといっているに等しい措置は常軌を逸しているといえます。裁量権の逸脱が認められたこと自体は当然といえる一方で、再雇用の取り消しが認められなかったのは十分とはいえません。