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北海道新聞社説:全国学力テスト見直しを訴える

 『北海道新聞』2009年1月13日付に「学力テスト 見直す時期にきている」という社説が掲載されています。

 社説では、現行の全国学力テストのあり方を抜本的に見直す時期にきているのではないかと指摘しています。
 結果公表の動きについて、詳細な情報を収集しながら公表を禁じる制度設計に無理があるとしています。その上で、情報開示請求があった場合公表拒否を可能にするように結果を受け取らないようにする文部科学省の対策に対して「こんな奇妙な弥縫(びほう)策を講じてまで、テストを続ける意味があるだろうか」と批判しています。
 また現行の学力テストについて「費用対効果に疑問も残る」と指摘し、「教員増や学校施設の充実など、財政難の中で限られた教育予算を振り向けるべき施策は、学力テスト以外にもいくらでもある」と結んでいます。
 全国学力テストについては、競争と序列化をあおるという観点とともに、制度の矛盾をついて「情報公開」の名の下に公表を強行しようとする動きも生まれています。文部科学省が小手先の対策をとることで矛盾はさらに拡大しています。
 現行の制度を続ける限り矛盾は拡大するだけだということは目に見えています。現行のやり方での全国学力テストは中止・抜本的見直しを図らなければどうしようもありません。少なくとも抽出調査に変更すべきでしょう。

学力テスト 見直す時期にきている(北海道新聞社説 2009/1/13)
 全国学力テストの結果公表をめぐって、混乱が続いている。
 秋田県知事が県教委の反対を押し切って、市町村ごとの科目別正答率を県のホームページで公表したため、同県内の藤里町教委が学力テストへの不参加を表明した。
 文部科学省は、「過度な競争や序列化を防ぐため」として、都道府県教委に市町村別の結果を公表をしないよう求めているが、秋田県のほか、大阪府、鳥取県などでも公表の動きが進んでいる。
 各地で知事と教委の意見が対立している。わずか二回の実施で、制度的ほころびと混乱は隠せない。
 文科省は学力テストの目的に、学力水準や学習課題の把握を挙げているが、教育専門家からは抽出調査で十分対応できるとの指摘もある。
 全国一斉、全員参加型のテストを抜本的に見直す時期にきているのではないか。
 学力テストの実施要領は、全国の小学六年と中学三年を参加させ、市町村、学校ごとの格差を比較できるデータを収集しながら、各教委に詳細な結果公表を禁じている。
 情報公開がこれほど求められる時代に、「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」というような性格を持つ制度設計に、そもそも無理がある。
 文科省は、都道府県教委が国からテスト結果の一部を受け取らないことも、今後は選択できるようにする方針を示している。
 情報開示請求があった場合、公表を拒否できない場合があることがその理由だ。こんな奇妙な弥縫(びほう)策を講じてまで、テストを続ける意味があるだろうか。
 現行の全国学力テストは「ゆとり教育」の見直しの流れの中で、二〇〇七年から始まった。
 全員参加型の学力テストは、一九六〇年代にも行われた。しかし、テストの予行演習をしたり、成績の悪い児童生徒を欠席させるなど、過度の競争が問題となり、短期間で廃止になった。
 文科省は新年度も三回目の学力テスト実施を予定しているが、現行の仕組みを続けるかぎり、結果の公表をめぐる教育現場の混乱は続いていくだろう。
 過去二回のテストには計百三十億円かかった。得られた結果について、文科省は「学力差は、全体としてはそれほど大きなばらつきはみられず、学力が低下しているとはいえない」と分析している。毎年数十億円かける費用対効果に疑問も残る。
 教員増や学校施設の充実など、財政難の中で限られた教育予算を振り向けるべき施策は、学力テスト以外にもいくらでもある。