暴力教師個人に損害賠償の一部を請求:福井市

 福井市立成和中学校で2000年、当時1年生だった男子生徒が教師から暴行を受けて失明した事件がありました。この問題についての訴訟で福井市に損害賠償を命じる判決が確定したことを受けて、福井市は国家賠償法に基づいて教諭に賠償額の一部・約2200万円を請求することを決めました。

 事件は2000年9月、文化祭の準備中に教諭がこの生徒に難癖を付けて殴ったということです。この暴行が原因で生徒は失明しました。しかし加害教諭は「暴力は故意ではない」と主張した上、たまたまこの生徒が目に先天的疾患を持っていたことを理由に「失明は疾患が原因。暴行との間に因果関係はない」と主張しました。福井市も教諭の言い分に追随しました。
 しかし福井地裁は2007年3月、事件を故意の暴力と認定して教諭側の言い分を全面的に退け、学校管理者の福井市に損害賠償を命じる判決を出しました。また加害教諭への損害賠償も求めていましたが、国家賠償法の規定を理由に退けられています。福井市は控訴せず、判決が確定しました。
 裁判では賠償金で損害を測る形にならざるを得ない面がありますが、お金の問題はともかく、一人の生徒の人生に大きな損害と悪影響を与えた教諭の暴力行為は重大です。
 そもそも学校での事件や事故での訴訟は、学校や市教委が事実関係を十分明らかにせずに第三者から見ても納得できないような対応を積み重ねたために、事実を明らかにするために仕方なく起こすところにまで関係者が追いつめられるというケースばかりです。学校事件・事故での訴訟での定番の嫌がらせ「お金目当て」など、どこをどうしたらそんな発想が出るのかという貧困な発想に基づいた下劣な中傷です。
 また「暴力は故意ではない」などとした教諭の言い分もめちゃくちゃです。だいたい、対生徒暴力・「体罰」は故意に起こす以外には起こりえないものです。殴っても「誤って当たった」などというのは、言い訳にもほどがあります。
 国家賠償法の規定との関係で裁判では教諭個人への損害賠償は認められませんでした。国家賠償法が想定しているものは「行政としておこなった行為や不慮の事故に対して、公務員個人に責任をなすりつけるのはおかしい」という視点だと思います。しかし教師の暴力は、公務員・教員としての正当な職務とは全く無関係で、しかも法律上もはっきりと違法と明記されている不法行為です。教師の暴力などについては、国家賠償法の想定の範囲外でしょう。
 公立学校教師の対生徒暴力・「体罰」事件や「教師による児童・生徒いじめ」事件に対する訴訟の際は、国家賠償法の規定を理由に教師の賠償責任を退ける流れが一般的になっていますが、法律の限界を感じます。なお、私立学校教師の対生徒暴力・「体罰」事件では、教師個人への賠償を認めた例もあります。
 一方で国家賠償法の規定では、行政が賠償した分について、行政から不法行為をおこなった公務員個人への請求もできるという主旨が明記されています。意図的で悪質な暴行である以上、賠償金を請求するのは当然だと考えられます。

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