客観的事実の発表が「名誉毀損」?

 客観的なデータに基づいてまとめた事実や研究成果を発表すると、それを気に入らないとみなした勢力から「名誉毀損」などとして恫喝や嫌がらせを受けるなど、言論の自由や学問・研究の自由を脅かすような事態が、立て続けにニュースになっている。

 労働問題について提起を続けるNPO代表が、入手した証言を元に、社名を伏せながらもブラック企業の実態を論評する文章を書籍で発表したところ、自分のことを書かれたとみなしたユニクロから著者個人に対して「現実に相違し、虚偽」「通告人会社らに対する虚偽の事実の適示や違法な論評などを二度となされませんよう警告申し上げます」などと法的手段をほのめかして恫喝する警告文書が送られてきたという。(J-Castニュース2013年6月11日『ユニクロ『ブラック企業』著者に「警告」 「違法な論評など2度となされませんよう…」』)

 また会計学の研究者が投資ファンドの実態を研究した学術論文を発表すると、経営者側が「名誉毀損」といいがかりをつけてスラップ訴訟(気に入らない意見を公表した相手に、口封じの恫喝目的で行う訴訟)を起こした事例も報道された。(しんぶん赤旗2013年6月14日『ファンド経営者ら研究者を高額賠償提訴 支援者 「学問の自由守れ」』)

 前者のユニクロの恫喝問題については、著者本人が以下のようにツイッター上で反論した。

「もし仮に私が書いた『ブラック企業』の『X社』がユニクロだとしても、同じような『実態』は朝日新聞や東洋経済で散々書かれている」
「私が許せないのは、朝日新聞や他の週刊誌では『実名』で問題にされておきながら、ユニクロについて何ら言及していないはずの、『私だけ』を『狙い撃ち』にする姿勢」

 また後者の研究者も、以下のように反論している。

「ファンドにかかわっていま、証券市場の規制がどういう役割を果たせるか、が問題になっています。この分野の研究は、私の従来の研究テーマであるとともに、大学教員としての社会貢献活動でもあります。こうした不当な訴えを許せば、研究も社会貢献活動もできなくなります」

 これらと類似した事例は、残念な傾向ではあるが、最近増えているように感じる。近年、不法行為の加害者側が居直り、被害を訴えた被害者側や、客観的資料に基づいて事実を指摘した第三者に対し、加害者側が逆に「名誉毀損」「人権侵害」などと斜め上の難癖をつけて恫喝し、事実や言論を暴力的に抹殺しようとする事例が目立っている。(それらの事例で問題になっている事実関係は私的なものではなく、公益性や公共性のあるものだということを念のため付記しておく)

 しかもねらい打ちされるのは、立場が「弱い」とみなした個人ばかり。同じことを書いているマスコミなどは全くスルー。

 新聞報道された社会的な事件の事実関係について、ニュース記事を元に書いたブログに対して、加害者側がブロガー個人を脅して、名誉毀損などと斜め上の言いがかりをつけ、法的手段をほのめかしながら恫喝や削除強要などをおこなう事例も、いくつか報道されている。

 当ブログ管理者は「研究者」と名乗れるほどの立場ではなく、単に目についた教育ニュースの感想を書いているだけの個人ブロガーにすぎないが、明らかになっている事実を確認した上で記載することを心がけている。

 しかし当ブログや、当ブログ管理人作成の関連の教育資料サイト『教育ひろば』『「体罰」問題資料館』にも、「体罰」問題やいじめ問題について、個別の事件について新聞報道や教育委員会の公式発表などで確認できる周知の内容を元に記載すると、加害者本人もしくは加害者に近い関係者を名乗ったりほのめかしたりする人物から、脅しや嫌がらせを受けたことが何回かある。

 『「体罰」問題資料館』には、桜宮高校の問題で「体罰」が社会問題になったからか、短期間に個別事件の加害者側からの脅しが相次いだこともあり、対応の限界を超えて一時非公開を余儀なくされている。

 当ブログや関連サイトで新聞報道を元に事実関係をまとめると、加害者本人を名乗る者、もしくは当方には身元を隠しながらも加害者本人や加害者側の関係者をほのめかす者から、サイトを削除させようと恫喝や破壊工作があった事例。

(1)長野県の小学校で2006年、担任教諭の日常的な「体罰」を目撃した児童がPTSDを発症し不登校になった事件。同じ日のわずか数時間の間に同じIPから3通の抗議メール。1通目は保護者を装った匿名で「新聞報道がすべて正しいとは限らない。PTSDはうそ」。2通目には「関係者だが、嘘を書くな。法的手段も考える」。3通目は「教師本人」を名乗り「母親は、自ら医師の診断書を持って新聞社に駆け込み」「彼女に対して一切の体罰を行ってはいません」など自己正当化を図るような内容。しかし本人に直接「体罰」を加えていなかったとしても「「体罰」を目撃して不登校」の事実を否定できる根拠にはならないし、教師本人を名乗るメールの中では他の児童に「体罰」を加えていたことを自ら認めていた。

(2)大阪府の私立高校の体育教師が1994年、水泳の授業中、体調不良で見学していた男子生徒に暴行を加え全裸にして泳ぐよう強要したとして懲戒解雇となり、当該教員は事実を認めながら、当時教職員組合役員を務めていたことを逆手にとって「組合つぶしの不当労働行為」と主張して解雇無効を求めて提訴した問題(解雇が確定)。この事件について触れると、当該元教員本人を名乗る人物から「暴行は加えていない。組合には所属していなかった。形式上は裁判で敗訴した形になったが実際にはこちらから見切りをつけた。匿名にしているが自分と特定される。お前のサイトは嘘ばかりで名誉毀損。サイトを消さなければ警察に刑事告訴する」と脅迫メール。しかし当時の新聞報道では「この教員が生徒に暴行を加えた」「この教員が組合役員であり、組合つぶしの不当労働行為と主張した」とはっきりと書かれていた。教職員組合が教師を支援していたとする文書も見つかった。裁判でもこの元教師が生徒に暴行を加えたことは認定されている。しかもこの元教師、生徒を全裸にして泳がせたことは全く否定していない。

(3)千葉県の小学校で2003年、養護学級担任教諭がわいせつ・性的虐待行為を加えた事件。この事件について記載すると、加害者本人か極めて近い人物とみられる何者かが、当方には身元を一切隠しながら、文章を発表したサイトを借りていたサーバーのプロバイダに執拗に嘘の通報をおこなったらしく、プロバイダから「相手方から苦情があったから消した」と一方的に通告され、突然当該記述を消される被害にあった。

(4)前述(3)の事件について、通報者の主張は全くの嘘であることを示す資料をつけてプロバイダに抗議しても無視されたため、やむなく別のサーバーを借りて、ネット上で経緯を公表した。公表したサイトに対して某プロバイダは「事実無根の中傷。プロバイダへの名誉毀損」と言いがかりをつけ、サイトを借りていたサーバーの運営者に送信防止要求(削除要請)を出して恫喝を加えてきた。その某プロバイダの創設者グループは学生ベンチャーあがりだが、学生時代に同級生への悪質ないじめ事件を起こして刑事事件になっていることも明らかになっている。

 いずれも、相手側の態度には卑劣さしか感じない。「体罰」やいじめに無反省の加害者だから、他人を恫喝したり新たないじめ行為を積み重ねることなどお手のものであろうし、彼らが不法行為を重ねること自体はこちらの知ったことではない。一方で、当ブログ作成者も生身の人間である以上、彼らから標的にされると不愉快極まりない。

 しかしこういう者は、少しでも隙を見せれば「自分の言い分を認めた」と勝手に変換して攻撃を強めて泥沼化する。「相手側に配慮する」としてクレームがあった箇所を消したブロガーが、それが裏目に出て、加害者側からさらに粘着され、損害賠償などを求められたという事例は、何件か新聞報道されている。

 自分や他の人がのびのびとブログを書けるためにも、それを妨害するような理不尽な嫌がらせを受けた場合には一歩も引くわけにはいかない。嫌がらせがが社会的に認められたかのように扱われることで、他の方にも新たな被害を出したり社会的に言論が萎縮させられる恐れもあることを考えると、これは民主主義社会における言論の根幹に関わる問題でもある。

 他人の人権を侵害して平然としているくせに、被害者の被害訴えや事実関係の指摘に対しては、自分のしたことと比較すれば全く大したことではないにもかかわらず「自分への人権侵害」として人一倍騒いで言論弾圧を図る。こんな悪質な行為は本来の民主主義や人権の概念とは相容れないものである。

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