劣悪な保育条件の認定こども園、認可取り消しへ:兵庫県と姫路市

 兵庫県姫路市飾磨区加茂の私立認定こども園「わんずまざー保育園」が劣悪な環境下での保育を続けていたとして、兵庫県と姫路市が2017年3月中にも同園の認定取り消しを実施する方向を固めた。

 認定こども園の認定取り消しは全国初とみられるという。

 「わんずまざー保育園」は認可外保育施設として開設され、2015年度に認定こども園へと移行した。

 「わんずまざー保育園」では、施設面積基準から算定された定員は46人となっている。しかし園側は正規の定員を22人超過し、68人を受け入れていた。約1.5倍の詰め込み保育になる。

 超過分の22人の受け入れについては姫路市に隠して園と保護者との直接契約とし、保育料は独自の基準で徴収していた。さらに超過分の保護者から直接徴収した保育料は、帳簿外扱いで園長がプールしていた。

 さらに、給食については40食前後しか用意せず、一時保育で預かっている児童も含めた約70人で約40食の給食を分ける形が常態化していた。単純計算でも一人あたりの量は通常の6割前後になり、栄養不足なども懸念されることになる。ゼロ歳児や1歳児には、おかずがスプーン1杯程度しか行き渡らないこともあった。

 保育士についても、市には架空の保育士3人を届け出て補助金を水増し請求していた。少ない保育士で現場を回し、さらに併設の学童保育の小学生の送迎や、夜間のベビーシッターなど、長時間過密労働が常態化していた。

 一方で行政に届け出る書類は改ざんし、書類上は問題がないようにしていた。

 情報提供があり、2017年2月23日に兵庫県と姫路市が抜き打ち特別監査をおこなって発覚した。

 園長は事実関係を認め「プールした金で遊具など園の設備に還元するつもりだった」としたという。

 このような悪質な施設は、認可以前の問題である。狭い場所に子どもを詰め込むことは保育事故の危険リスクなども増えるうえ、子どもの発達にとっても悪影響を及ぼしかねない。また給食の不足が常態化していたことは、虐待といってもいいのではないか。施設が存在すること自体が許されない。

 また保育条件を自ら下げながら「園の設備投資などに還元」なども、後付けの言い訳のようにも感じる。

 「規制緩和」がもてはやされる傾向があるが、行き過ぎた「規制緩和」によってこのような悪質な業者が参入する余地が出ることになる。子どもの生活の場、成長の場という視点から、保育事業はきちんとした条件の下で、公営もしくはふさわしい事業者によっておこなわれるべきではないか。

 また行政側も「提出された書類には不審な点がないから」として書類審査だけにとどめるのではなく、きちんとした現場調査をおこなうことが重要だということも示している。

(参考)
◎姫路の“劣悪”子ども園、全国初の認定取り消しへ(神戸新聞 2017/3/19)
◎給食のおかずスプーン1杯 姫路の子ども園(神戸新聞 2017/3/19)
◎姫路のこども園「常に人員不足」 保育士が証言(神戸新聞 2017/3/19)

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