2016年 教育・こども関係のニュースを振り返る

2016年に話題となった、教育やこども関係のニュースを、順不同で振り返ってみます。

18歳選挙権と主権者教育、高校生の政治活動

 2016年7月の参議院議員選挙から「18歳選挙権」が導入されました。このことに伴い、「主権者教育」の重要性がいわれるようになりました。

 しかしその一方で、18歳選挙権や主権者教育に密接に関連して、高校生の政治活動については規制しようという流れも生まれました。文部科学省は「各学校が校則などで規制することは否定しない」とする対応をとり、愛媛県では県立高校全校で「政治活動は届出制」とする校則を制定するなどの状況が生まれました。このことには、高校生の自主性を尊重しないのではないか・日本国憲法や子どもの権利条約に抵触するのではないかと批判が生まれています。

「保育園落ちた日本死ね」:保育所待機児童問題

 2016年2月、子どもが保育所の入所選考に落ちたという女性が「保育園落ちた日本死ね」というブログを書きました。このブログはインターネット上で反響を呼び、山尾志桜里衆議院議員(当時・民主党、現・民進党)がこのブログを引用して国会で質問をおこないました。

 しかし政府は、答弁で「そのブログは誰が書いたのかわからない」などとしました。このことで「保育園落ちたの私だ」と名乗り出る子育て世代が次々と現れ、国会前での抗議行動が起き、マスコミでも大きく取り上げられるなどしました。自らも子育て中で子どもが保育園に入れなかったという吉良よし子参議院議員(共産党)など他の議員も国会質問で取り上げるなどし、保育所待機児童問題は大きな社会問題となりました。

 待機児童問題は2016年7月の参議院議員選挙の大きな争点ともなりました。

組体操事故問題

 2015年に大阪府八尾市の中学校で、体育祭の組体操で10段ピラミッドが崩れ、生徒が骨折する事故がありました。組体操の事故の問題は各地で問題となり、国会質問でも取り上げられました。

 政府・文科省・スポーツ庁では「国としての一律の基準は設けない」としたものの、組体操の安全性には十分に配慮するよう求めました。各地の教育委員会が危険な技の禁止や制限などの対策をとり、負傷事故は以前と比較して減少しているということです。

教科書問題

実教出版・高校日本史

 2017年度以降に使用予定となっている高校教科書の検定結果が2016年3月に発表されました。

 実教出版の高校日本史教科書は、2016年度までの従来版では、国旗国歌法をめぐって「強制の動きがある」とした記述がありました。この記述が教育委員会や右派政治家から敵視されて、各地で採択させないように圧力をかけられる状況が生まれていました。実教出版の改訂版教科書では、問題視されていた当該記述そのものが削除されたということです。

帝国書院・高校現代社会

 2016年4月、帝国書院の高校「現代社会」教科書(2017年以降使用版)に、沖縄県の経済が米軍基地に依存しているかのように受け取れる不正確な記述があったとして、沖縄県の住民団体から修正を求める要望が起きました。地元紙も、教科書の記述を強く批判する記事を出しました。帝国書院側も「かねてから社内でもこの記述は疑問視され、訂正申請を検討していた」として、訂正申請をおこないました。

「ブラック部活」問題

 中学校・高校を中心に、部活動にかかわっての教職員や生徒の過剰負担問題、「ブラック部活動」の問題も指摘されました。

 教職員にとっては、部活動顧問を半強制的に押し付けられて、休日・休暇も取れない、本業の教科指導準備や担任業務などの時間に支障が出るなど、労働問題としても過剰な負担が生まれています。また生徒にとっても、勝利至上主義での心身への悪影響、勉強や家族との時間が取れないなどの問題も指摘されています。

 文部科学省は、部活動に携わる教員の休日手当を増額するなどの対策を打ち出したということですが、抜本的な改善には程遠い状況で、さらなる改善策の打ち出しが求められています。

震災・原発避難者いじめ問題

 2016年11月以降大きくクローズアップされたのが、東日本大震災やそれに伴う東京電力福島第一原発事故により、被災地から避難した児童・生徒が、転入先の学校で震災・原発事故や避難者を理由にしたいじめを受けたと訴えている例が相次いだ「避難者いじめ」の問題です。

 2016年11月、横浜市立小学校在学中に避難者を理由としたひどいいじめを受けたという事例が新聞などで大きく報じられました。その後、新潟市・東京都千代田区・川崎市などでの事例も報じられました。新潟市では、同級生からのいじめだけにとどまらず、担任教諭もいじめに加担したような形で不適切発言をおこなったことが指摘されています。

 震災や原発事故との因果関係以前に、きっかけがどうあれいじめ自体が悪質な行為で、いじめへの対応としてしっかりと対策を取っていく必要があります。しかし各地で続くと、「被害にあったのがたまたま避難者だった」ということにとどまらないのではないかという点も、ていねいに検討する必要もあります。

給付型奨学金

 大学など高等教育機関への進学者への奨学金の問題。従来の日本学生支援機構の奨学金制度は貸与型で、学費の高騰や卒業後の就職難・不安定雇用の状況も加わり、奨学金利用者の卒業後の返済の高負担が社会問題化しています。

 給付型奨学金制度そのものについては、国会ではほぼ全会派が一致して導入を主張したということです。

 政府は2016年、給付型奨学金制度を2018年度から導入する方針を決めました。その一方で、1学年約60万人以上のうち2万人しか対象にならないことで枠が狭すぎることや、奨学金給付対象者の選考基準が厳しくなると見込まれることなど、制度設計の問題点も指摘されています。引き続き、制度の抜本的な拡充が求められています。

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