ニセ科学を学校教育の場に持ち込むのはいただけない

 科学的には根拠が確認されていない、もしくはデタラメだとみなされているような、いわゆる「ニセ科学」「疑似科学」について、一部とはいえども学校教育に導入しようとする動きが侵食しているという。

 一見人文科学的・社会科学的と見せかけての「親学」「江戸しぐさ」なども侵食を図っているが、一見自然科学と見せかけた内容でも「水からの伝言」「EM」などが一部に持ち込まれている。

 「EM」については、2016年の時点でも、学校教育の場に持ち込む動きが複数の学校であったことが確認された。

 EMは「有用微生物群」とされ、開発者によると微生物の働きで農業の土壌改良などに応用するとしていた。しかし、河川の水質浄化などに応用するともしたことで「逆に水質の悪化につながるのでは」という疑問が指摘された。さらには放射能除去などの作用まで話がふくらんだことで、ニセ科学として無視できないレベルとして扱われるようにもなっている。

 愛媛県愛南町のある小学校のウェブサイトでは、2016年12月12日のエントリ「EM菌2回目プール投入」として、「今日は、昼休みに5年生が「EM菌」をプールに投入しました。今年度2回目です。これで、来年度の5月のプール掃除は、ばっちりです。」という記載があった。また同じ愛媛県愛南町の別の小学校のウェブサイトでも、2016年12月16日付のエントリで、6年生の活動として「先週の木曜日から培養していたEM菌をプールに撒きました。これで来年のプール掃除もバッチリです」とする記載があった。

 熊本県のある県立高校でも、2016年11月21日に地元団体がEMを学校のプールに散布したことや、その団体は近隣の中学校や高校にも散布をおこなうことがウェブサイト上に記され、地元新聞社も取材に来たという。

 岐阜県瑞浪市のある小学校でも、学校の活動報告ページに2016年5月13日、「EM菌づくり」として、「毎年4年生が、プール清掃と環境のためにEM菌作りを行います。EM菌づくりのためには、お米のとぎ汁が必要なため、事前に全校によびかけ持ってきてもらいました」とする記載がウェブサイトに掲載されている。

 徳島県阿南市のある小学校のウェブサイトでも2016年5月13日、「児童が家庭から米のとぎ汁をもってきて培養したEM菌をプールに投入しました。」とする記述がある。

 これらはネットで検索して出てきたものの一部であり、他のところでも広がっている可能性が高いと危惧される。科学的にも疑問が持たれているものを、無条件で採用するような形になるのが、学校教育としてふさわしいわけがない。

 EM概念提唱者やその同調者による、EM推進機構のウェブサイトのコラムが振るっている。提唱者の2016年12月13日付のコラムによると、「EMの整流効果」なるものとして、「EMが沖縄本島周辺を守って結界となり、台風が沖縄本島周辺を避けて台風被害が減った、電気料金が下がった、子どもの集中力が向上して沖縄県での全国学力テストの成績が向上した」など、もはやオカルトなのかと疑うような内容が記載されていた。

 全国学力テストの都道府県別・地域別の平均点や順位をそのまま個別の子どもの学力と直結させて扱うこと自体が不正確で一種の疑似科学に近い内容ではあるものの、台風被害やら電気料金やらと因果関係が全く証明されていないのに何でもかんでもEMと結びつけて適当なことを言い立てているだけである。このようなことを無批判に取り入れていいのだろうか。

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