教科書でのイタイイタイ病の記述に誤りあると指摘:富山の市民団体

 四大公害病に指定されている「イタイイタイ病」について、市民団体「イタイイタイ病を語り継ぐ会」が小中学校・高校の教科書の記述を分析し、誤りや不正確な記述が目立つと指摘している。

 会では2016年7月~11月にかけて、「イタイイタイ病」に関する1970年代以降の小中高校の社会科教科書計304種類の記述の分析を試みた。その結果、現行教科書も含めて複数の教科書でイタイイタイ病の発生時期を「1922年」「1955年」とする不正確な記述があったり、発生期間を「昭和」と区切る記述もあったという。

 イタイイタイ病は鉱山のカドミウムが原因となり、鉱物精錬の際の未処理廃水が神通川(富山県)に流されたことで発生した。神通川下流域では川の水を農業用水や飲料水として利用していたことで、飲用水から直接カドミウムを摂取したことや、農業用水を通じてカドミウムが蓄積した農産物を摂取したことを通じて、カドミウムが体内に蓄積して人的被害を及ぼしたものとなっている。操業が開始された明治時代から発症例が報告されているという。最新の研究では、最初の患者の発生時期はこれまで多くの資料で紹介されてきた1922年からさらにさかのぼり、1911年頃に患者が発生したと推定されている。国の推定でも1911年説をとっている。1955年は新聞報道で全国的に広く知られるようになった年だという。

 患者数の記述についても疑問が投げかけられている。存命患者数は5人として表記されているが、認定された患者だけでも200人、その上最初の発生から認定まで半世紀近くかかっていて対策が遅れた・認定制度ができたのは被害のピークを超えた頃という特徴もあり、同時期に問題化した他の公害病と比較して被害が小さく印象づけられるのではないか、「過去のもの」と誤認されるのではないかという危惧があるという。

 歴史研究の成果としても、社会問題の実態としても、誤認を与えかねないような教科書記述があるのならば、より正確なものへと発展的に修正される必要があるのではないか。現行教科書でもそれらの記述があるということで、適正な対応が求められるといえる。

(参考)
◎イ病 記述に誤りあり 語り継ぐ会 小中高教科書を調査(中日新聞 2016/11/29)

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