原発事故避難児童へのいじめ、当事者が経験語る

 東日本大震災に伴って発生した福島第一原発事故の影響で福島県から横浜市に自主避難した男子生徒(現在中学校1年)が小学生時代に継続的ないじめを受けていた問題が大きく報じられている。

 朝日新聞(ウェブ版・2016年11月26日配信)は、同じように福島県から東京都内に自主避難して転入先の学校でいじめにあったという別の男子中学生への取材をおこない、『塾でも続いたいじめ 原発避難先の体験、当事者が明かす』として掲載されている。

 記事によると、この生徒が小学校2年だったときに震災と原発事故が起き、わずかな着替えのみを持って東京都内に避難した。しかし転入先の小学校では、「菌がうつる」「お前が触ると汚れる」「ただで住んでるんでしょ」などと暴言を受ける、鉛筆の先で足を突かれるなどのいじめを受けた。給食では班ごとに席をくっつけるのことになっていたのに同級生から嫌がられ、無理につけようとすると担任教諭から「落ち着きがない」と言われるなどした。母親は数カ月後に転校させることを決意した。

 しかし、次の小学校でも「賠償金、いくら」などと暴言を受けるなどのいじめを受けた。母親は「この学校には他にも避難児童が通学している」として「強く言って目立つと、他の避難者にも迷惑をかけてしまう」として我慢していたものの、生徒が5年生のときに担任教諭にいじめを訴えた。学校側が対応し、学校内ではいじめはやんだ。

 しかし生徒が通っていた学習塾に同じ小学校の児童がいたことで、いじめの場は学習塾に移る形になった。母親は学習塾にも善処を申し入れて、いじめは収まったという。

 生徒は離れた場所の中学校に進学した。同級生に対して避難者とは特に明かしていなかったものの、後に同級生らに偶然知られることになってもいじめなどはなく、中学校では楽しく過ごしているという。

 また記事では、避難者らで作る団体の代表へも取材している。代表によるとこの団体では、避難者の児童生徒が原発事故を理由に転入先の学校でいじめを受けたケースは6件を把握している。また日常的に「菌」「汚い」と言われたと訴える子どもも多いとしている。

 原発事故からの避難を理由とした転入先でのいじめは、この事案だけに限らない。報道されているものだけでも複数ある。

  • 千葉県船橋市 – 福島県南相馬市から避難した兄弟が2011年3月、避難先近くの公園で遊んでいたとき、兄弟の話す方言を耳にして興味を持った地元の子ども数人から「どこから来たの」と聞かれて「福島」と答えたら、地元の子どもは「放射線がうつるぞ」と叫んで逃げていった。兄弟は4月から船橋市内の小学校に転入する予定だったが、転入を取りやめ、一家は福島市に再避難した。
  • 群馬県 – 南相馬市から避難して現地の小学校に転入した児童が、「福島から来た」と避けられたり悪口を言われて不登校になった。
  • 新潟県長岡市 – 福島県からの避難児童が転入先の小学校で殴られるなどのいじめを受けた事案が発覚。学校側は震災・原発事故との直接の関連を否定。
  • 宮城県仙台市 – 福島県南相馬市の緊急時避難準備区域から避難して現地の中学校に転入した姉妹は、同級生から「汚染されているんじゃないの」「放射能のところから来たんでしょ」などと心ない言葉を繰り返し受け、姉妹2人とも不登校に追い込まれた。
  • 福島県二本松市 – 浪江町の帰還困難区域から避難所に入り現地の学校に転入した生徒が、「放射能を浴びたのだから寄ってくるな」などの暴言を受けるなどのいじめを受けた。

 無知に基づく非科学的な差別・偏見と思われるものであり、また重大な人権侵害でもあり、きっちりと対応していかなければならないのではないか。

スポンサードリンク

フォローする

スポンサードリンク