原発訴訟「事故で子どもが転校、いじめ」と原告住民が訴え:福島・浪江町

 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故で帰還困難区域となった福島県浪江町津島地区の住民が、国と東京電力に対して、慰謝料の増額や除染による原状回復を求めている「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」の第4回口頭弁論が、11月25日に福島地裁郡山支部で開かれた。

 口頭弁論では、原告の地域住民が陳述をおこなった。ある住民は「子どもが避難先でいじめを受け、精神的苦痛を受けた」と涙ながらに訴えた。

 2011年3月11日の東日本大震災・原発事故の発生当時、長女は中学校3年、次女は小学校6年だった。事故後一家は福島県二本松市の避難所に入り、子どもは現地の学校に転入した。しかし転入先では「放射能を浴びたのだから寄ってくるな」などの暴言を受けるなどのいじめを受けたという。子どもはいじめによって、布団から出られなくなる、食事が取れなくなるなどの精神症状が出た。子どもはその後福島県立浪江高校への進学の目標ができて元気を取り戻し、高校では生徒会長を務めるなどした。

 法廷では、陳述を聞いてもらい泣きする人の姿もあったという。別の住民は、先祖が移住して開拓したとされる土地や地域の伝統文化を、自分の代で途絶えさせることへの苦しみを訴えた。

 原発事故で避難し、避難先の学校に転入した児童・生徒への、原発事故を口実としたいじめ事件はいくつも報告されている。横浜市の小学校で、避難児童への数年間にわたってのいじめ事件があったと2016年11月に大きく報じられた。

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 一方で横浜市の事例は特異な例ではなく、類似のいじめ事案はあちこちで発生している。報道されただけでも、千葉県・群馬県・仙台市など各地に避難した児童・生徒が、転入先の学校で原発事故に関連して差別的な暴言を受けるなどのいじめを受けたと訴えている事例が報告されている。

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 原発事故がなければ、避難することもなく、したがって避難先で原発事故を口実としたいじめを受けることもなかったはずである。避難を余儀なくされた住民の無念さや精神的負担は、どれほど大きいものか。原因を作った国と東電は、できる限りのことをすべきではないか。

(参考)
◎原発事故で転校・いじめ 浪江町津島訴訟 母親、涙の陳述(しんぶん赤旗 2016/11/26)

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