道徳教育副読本に虐待肯定と受け取れる記述、改訂版で差し替えへ

 小学校5年向けの道徳副読本に虐待を肯定すると受け取れるような記述があり、インターネット上で話題になっていた。当該副読本について、改訂版よりその記述を削除する方向で調整していることがわかった。『朝日新聞』(ウェブ版)2016年11月10日「道徳副読本に「虐待」表現? 「激しくたたいた」削除へ」が報じている。

 当該の副読本は、「日本標準」が発行する「みんなで考える道徳」。学年別の分冊となり、問題となった記述があるのは5年生向けの本。文化人類学者・波平恵美子氏(御茶ノ水大学名誉教授)が2008年に出した著書『10歳からの生きる力を探す旅4 家族ってなんだろう』(出窓社)から一部を抜き出す形で構成している。

 家族のあり方を考える目的があるという。しかし教材の文中で、母親が「目の中が真っ白になるくらい激しくほおをたたきました」とする描写があり、それが肯定的に描かれているとして、インターネット上で疑問が呈されていた。

http://togetter.com/li/1040835

妹の道徳の教科書がやばい。怖すぎる。
今年の4月にツイートした妹の道徳の教科書(副読本)について。
個人ではなく、学校という教育の場で、子供に対して「目の中が真っ白になるまで頬を叩いても親だから当たり前」ということを教えてる。
しかも、道徳の教科書の指導内容は、「家族の幸せを求めてというオチ

 当該のインターネットでの批判では、副読本の名前や具体的な記述などは記されていなかったが、表紙の写真などがアップされていたことから「日本標準」の副読本だとわかる。この副読本は一般書店での市販はしておらず、学校を通じての注文でのみ購入できるという。

 『朝日新聞』の当該記事では、問題の記述の一部が引用されている。
 

■「家族ってなんだろう」の一部

 さわってはだめといわれていた花びんをこわした時は、目の中が真っ白になるくらい激しくほおをたたきました。

 大声でしかりました。

 それからなみだのいっぱいたまった目でじっとみつめると、「どうして分からないの?」と言いました。

 これらのことが、「家族」と呼ばれる関係にはない人たちの間で起こると、おどろくことばかりです。

 これでは、虐待やいわゆる「体罰」を肯定していると受け取られるような内容である。家族だから子どもをたたいてもいいとか、しつけのためとかというのは、虐待正当化の典型的な言い訳である。

 このようなものを道徳教育の教材として使うことは、現代社会ではすでに時代錯誤のものとして否定されているような前近代的考え方を現代の道徳として押し付けるという、よからぬメッセージを子どもたちに与えることになるのではないか。

 また道徳教育自体、この手の時代錯誤的なものを普遍的真理扱いで一方的に注入しようという勢力に狙われている状況が続いている。道徳性については一方的に注入されるものではないが、人権および個人の尊厳の尊重などの社会の到達点を踏まえて考えていく必要があるといえる。

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