大阪市育鵬社教科書採択不正疑惑:調査に産経新聞が難癖

 大阪市の2015年中学校教科書採択で、社会科歴史・公民の教科書ともに育鵬社版が不適切といえるような方法で採択され、2016年度より使用されている問題。

 この問題では、教科書展示場で一般来場者を対象に実施した無記名アンケートの際、酷似した筆跡や内容の文面で育鵬社教科書採択を求めるような回答が多数発見されたが、集計した教育委員会事務局担当者はそのことに気づきながらそのまま集計を指示し、教育委員会会議に報告していたことが問題になっている。

 この問題と前後して、住宅販売会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)の従業員が「職場でヘイトスピーチ・民族差別的な社内報を回覧されるなど精神的苦痛を受けた」として訴えている「ヘイトハラスメント訴訟」が2015年に提訴された。

フジ住宅ヘイトハラスメント問題「裁判を支える会」発足
フジ住宅でのヘイトハラスメント問題で、「ヘイトハラスメント裁判を支える会」が立ち上がったということである。 ツイッターアカウント ...

 この問題ではヘイトハラスメントの一環として、同社が従業員に対して業務時間中に教科書展示会会場に行かせ、育鵬社教科書を採択するよう求める内容のアンケートを記入させたことや、白紙の回答用紙を大量に持ち帰って会社の事務室で同一文面の内容を複数書かせて後日投函させるなどの組織的動員行為があったことが指摘され、大阪市の育鵬社教科書採択問題が「ヘイトハラスメント」問題ともつながることになった。

大阪市育鵬社教科書採択、フジ住宅「ヘイトハラスメント」問題の影響か?
 フジ住宅(大阪府岸和田市)の「ヘイトハラスメント問題」に関連して、フジ住宅が2015年夏の中学校教科書採択の際、社会科教科書で極右的な育鵬...

 なお「フジ住宅」の会長は、育鵬社教科書執筆グループの母体「日本教育再生機構」にも関与している。

 またこの過程で、育鵬社の担当者がフジ住宅側に対し、「アンケートの結果が多いほど育鵬社採択に有利になる」と働きかけるような内容のメールを送っていたことも指摘されている。

大阪市教科書採択、育鵬社がフジ住宅に「アンケート結果が採択を左右」と伝える
 大阪市で育鵬社中学校教科書が採択されたことに関連して、育鵬社からフジ住宅(大阪府岸和田市)に「教科書展示会でのアンケートの結果で、育鵬社支...

 この問題では大阪市会に経過の究明を求める陳情書が出され、自民・公明・共産の各会派議員が徹底調査を求めるよう委員会質疑をおこなっている。なお、大阪維新の会はこの問題については一切取り上げていない。

 大阪市教委事務局は当初「アンケートは教科書選定に影響しなかった」と答弁したものの、議会質疑と陳情書の可決を受け、第三者による外部調査チームを設置することになった。2016年11月時点では、調査チームが調査中である。

 しかし産経新聞(ウェブ版)2016年11月2日付が、「【from社会部】教科書アンケ、外部調査に巨額費用」とする記事を出している。

 記事では、きっかけとなった育鵬社教科書の採択での不正を問題視することはなく、「外部調査を担当する弁護士に支払う報酬が高い」という点を槍玉に挙げている。

 こういうのは「逆ギレ」や「難癖」「揚げ足取り」というのではないか。

 そもそも、大阪市教委事務局・育鵬社・フジ住宅がおかしなことをしなければ、調査費用を支出することもなかったことになる。無駄を作った根本となる市教委・育鵬社・フジ住宅にこそ批判の目が向けられなければならない。しかしそれらの行為は不問にして、調査費用支出を無駄かのように扱うのは、結局は元凶を作った者の行為を正当化させ、また不正の追及が都合が悪いと言っていることにほかならない。

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