副読本から「関東大震災時の朝鮮人殺害」記述削除検討へ:横浜市

 横浜市教育委員会が市立中学校向けの副読本として配布している「わかるヨコハマ」について、2016年度中に発行予定の改訂版から、関東大震災直後に発生した朝鮮人虐殺の記述を削除する方向で検討していることが、9月9日までにわかった。

 市民団体「歴史を学ぶ市民の会・神奈川」が6月に情報公開請求をおこなって原稿案を確認したところ、従来版までの当該記述が全削除されていた。これを受けて研究者ら約70人が9月9日付で、連名で要望書を提出した。

 この副読本をめぐっては、2012年度版で関東大震災直後の朝鮮人虐殺について触れた際、自警団以外に軍隊や警察も迫害と虐殺に関与したとする表現に対して一部右派市議が反発して、圧力をかけるような議会質問などをおこなった。横浜市教委はそれを受ける形で2013年度版以降では軍隊や警察の関与を示す記述を削除し、また「虐殺」の表現を「殺害」に改めるなどした。

右派が副読本歴史記述に介入した問題:横浜市
 横浜市教育委員会が市立中学校の生徒に配布した副読本「わかるヨコハマ」の記述をめぐり、右派市議が反発したことを受けて横浜市が関係職員を処分し...

 今回はその時以上に後退している形になっている。2015年度版の「自警団の中に朝鮮人を殺害する行為に走るものがいた」をそのまま削除し、虐殺の事実そのものに触れない形になっている。

 関東大震災の時に、自警団のみならず軍隊や警察が混乱に紛れて、朝鮮人や社会主義者などの殺害に走ったのは歴史的事実であり、学問的にも定説扱いとして証明されている。またこの史実は、災害時のデマ流布という社会学的な見地からも重要なものである。関東大震災の学習の際に避けては通れない重要な内容だといえる。

 2012年時点での動きや、横浜市では中学校社会科歴史・公民教科書で育鵬社教科書が採択されていることなどの他の状況からあわせて考えると、今回の当該記述の削除は、特定のイデオロギーに基づいて史実をゆがめる動きとも連動しているといえるのではないか。

(参考)
◎「朝鮮人殺害」の記述削除を検討 横浜市の中学生向け副読本(共同通信 2016/9/9)
◎関東大震災の朝鮮人虐殺 副読本の記述削除検討 横浜市(朝日新聞 2016/9/9)

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