非科学的な教育・保育施策を行政に持ち込んではいけない

 日刊ゲンダイ2016年7月29日号に『言動を知るほど危うい 小池百合子氏の「子育て・教育論」』が掲載された。

 小池百合子氏が保育や教育・子育てに関してどのように発言しているか、保育所の待機児童解消問題と「親学」の2点について指摘している。

 保育所問題では、待機児童の解消策として、保育面積基準の緩和をあげている。これはすなわち、同じ面積の保育所により多くの児童をつめ込むようにできるものである。これでは、子どもが狭いところで心理的にもストレスをため込みかねないこと、遊んでいる子ども同士が交錯することでのケガなどの危険性が高まること、保育者の目が届きにくくなることなど、保育条件の低下と事故リスクの増加につながるものであり、保育関係者や保護者からは疑問視されているものである。

 どの子もいきいきと成長してほしいというのは、親や保育関係者の願いである。待機児童解消を口実に保育条件の低下は、決して受け入れられるものではない。待機児童解消・保育条件の向上・保育士の待遇改善は、決して別個のものでも対立する概念でもなく、一体のものとして取り組むべきものである。

 さらに小池氏は、保育士の待遇改善についても、空き家問題と絡めて「空き家に保育所を作ればいい。保育士の待遇についても、住むところが必要でしょうから、単純に賃金を上げるよりも空き家に住んでもらえばいい」と、驚くべき主張を掲げている。

 『日刊ゲンダイ』の記事では「「給与は上げないけど、空き家を用意するから、そこに住め」と言っているのと同じで、随分な扱いだ。保育士の住まいは空き家で十分と考えているなら、かなり差別的な発想である。」と批判している。確かに小池氏の発言は、このような内容に受け取られてもおかしくない。また保育所は、子どもの動きなどを考慮して危険箇所などを極力排するような設計が必要であり、空き家を転用すればいいというような単純な話ではない。

 記事では、「親学」の問題についても触れている。「小池氏は、伝統的な子育てに回帰するため、まず親を教育すべしという「親学」に傾倒し、推進議連にも名を連ねていた。」と指摘したうえで、小池氏が東京都知事選挙告示後に「親学」の学習会に参加したというウェブ記事を削除したということを指摘している。

 「親学」は、「新しい歴史教科書をつくる会」の極右教科書にも関与した経歴のある高橋史朗氏が提唱し、「発達障がいなどは親の愛情不足が原因。伝統的子育てで予防できる」と非科学的な主張を掲げ、教育関係者や障がい者問題の関係者からは強い批判を浴びている。

 「親学」は自民党・おおさか維新の会などの極右議員や極右系の言論人などが推進し、極右教科書採択運動、「江戸しぐさ」、国家主義的な思想の押し付け刷り込み的な道徳教育など、教育界に侵食を図ろうとしている極右思想やカルトとも親和性が高い。国会の親学推進議員連盟には、安倍晋三首相や下村博文元文科相らとともに、小池百合子氏も名前を連ねていた。

 また2012年5月には大阪市で、大阪維新の会の大阪市議らが「親学」をベースとした「家庭教育支援条例」案を検討しているという文書がインターネット上にリークされ、維新と「親学」が強い批判を浴びた。維新側は「流出した文書は本物」と認めたうえで、「文書はあくまでも検討資料にすぎない」として事実上撤回する騒ぎがあった。

発達障害に対する偏見は「親学」や極右思想の影響?
 大阪維新の会大阪市議団が提案を検討している「家庭教育支援条例」案について、発達障害への無理解・偏見が批判を浴び、一部マスコミでも報道されて...

 「親学」を推進する政治家が首長になると、子どもの教育や発達に悪影響があるような施策が次々と打ち出される危険性があり、恐ろしいことになりかねない。東京都では石原慎太郎都政以降、教育行政がむちゃくちゃにされてきた。その流れを早く止める必要があるといえる。

東京都の教育行政、異常だと指摘
 『しんぶん赤旗』2016年7月24日付に、記事『東京の異常な教育行政変える好機』が掲載されている。  7月31日投開票の東京都知事選...
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